大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会は、このほど大山蒜山三徳山地域の観光事業推進や自然環境保全を骨子としたステップアッププログラムを策定した。2021年度(令和3年度)から2025年度(令和7年度)までの5年間の事業指針となるもので、具体的な行動計画。実施に当たっては鳥取県農林水産部らが主体となり、環境省や各自治体と連携して事業を進めるものとみられる。
計画は①大山寺・大山山頂、②奥大山・鏡ヶ成地区、③蒜山地区の3地区で、三徳山でも施設整備や環境保全等の事業を実施する。
大山蒜山三徳山地域整備計画

1)大山寺及び大山山頂施設整備
【優先的な取組】
〇施設の整備・改修、まちなみ景観の改善
①登山道改修
植生保護のため山頂付近の木道を含め、大山5合目から山頂までの区間の登山道を改修するとともに、元谷から大山寺に至る区間に誘導看板等を設置し、登山者の利便性を向上させる。
②総合案内所新設
安全・安心なアウトドア拠点施設として、夏山登山道下山口と南光河原駐車場登山口の交差部に、自動翻訳機による無人インフォメーション機能を有し、新型コロナウイルス感染症防止対策の一環としてのサーモカメラ、登山届ポスト等を併設する総合案内所を整備する。
③キャンプ場再整備
外国人利用者のニーズも考慮した運営を行うことを念頭におき、民間事業者の知見を活用してキャンプ場再整備を実施する。
④老朽化施設改修
大山寺参道周辺に散在する老朽化施設を改修し、まちなみ景観の改善を図る。
【参考・大山寺及び大山山頂の地区概要】
大山寺地区は、大山登山の出発点であるほか中国地方で最大規模のスキー場があるなど自然を楽しむアクティビティの核心地であるとともに、一帯が国の史跡「大山寺旧境内」として指定されている文化財であり、さらには旅館やホテル、キャンプ場が隣り合う宿泊拠点でもある。
大山登山やスキーに加え、大神山神社奥宮や大山寺への参詣、周辺のブナ林の散策、カフェやショップの利用等が楽しまれている。大山の最高峰は標高1729mの剣ヶ峰であるが、崩落のため剣が峰に至る縦走路は立入りが禁止されており、登山者が行くことのできる頂上は標高1709mの弥山となっており、ここでいう大山山頂も弥山を指す。
大山山頂には、いずれも大山寺地区を出発点とする夏山登山道と、これに5合目付近で合流する行者谷登山道からアクセスできる。大山山頂では、その優れた景観の維持と利用を両立させるため、木道や避難小屋等の必要な施設を整えるとともに、地元団体やボランティアによる植生復元や施設の維持のための活動が盛んに行われている。
2)奥大山・鏡ヶ成地区施設整備
【優先的な取組】
①観光振興に向けた検討
新たな観光地化を目指し、現在休止中の奥大山スキー場やその周辺の施設、観光資源の活用計画を策定し、同計画に基づき整備を進める。
②湿原と草原の保全と持続可能な利用
鏡ヶ成湿原・草原の保全・再生と利活用のための取組を実施する。
【奥大山・鏡ヶ成地区概要】
奥大山は大山の南壁から岡山県との県境までの地域を指し、鏡ヶ成を含む。鏡ヶ成は、烏ヶ申、象山及び擬宝珠山に囲まれた標高930mの盆地状の高原で、登山や湿原散策、ピクニック、キャンプ、スキー等が楽しまれている。
鏡ヶ成湿原では、地下水位の低下等が原因となり生態系の劣化の傾向が見られたことから、2000年(平成12年)から湿原再生の取組が行われている。
その他の奥大山の見どころとしては、紅葉の名所である鍵掛峠や、静誼な雰囲気の木谷沢渓流が挙げられる。豊かな自然の恵みであるミネラルウォーターの採水地や工場もある。

3)蒜山地区施設整備
①施設整備・改修
塩釜園地内の湿生植物園を親水公園に再整備する。
②自然環境の保全と持続可能な利用
蒜山自然再生協議会を設立し、自然資源の持続的な保全活用や観光の在り方を内容に含む自然再生全体構想と実施計画を策定し、山焼きを持続的に行う体制整備や、草原再生のための活動の実施、持続的な取組とするための資金調達手法について検討する。
蒜山大山スカイライン沿線においてナラ枯れ被害木の伐倒整理を行う。
【蒜山地区概要】
蒜山は、岡山県と鳥取県の境に位置する上蒜山、中蒜山、下蒜山から成る連山の蒜山三座と、その裾野に広がる蒜山高原で構成される。
山麓の草原景観の維持や、草原に生息するフサヒゲルリカミキリ等の絶滅危惧種の保護のため、地元団体やボランティアにより山焼き等の保全活動が行われている。
蒜山高原は、避暑地やリゾート地として知られており、高原や田園の牧歌的な風景の中を走るサイクリングをはじめとして、登山やキャンプ、日本名水百選の一つである「塩釜の冷泉」や周辺の観光・食事施設の周遊が楽しまれている。
※その他、大山・三徳山など施設整備・改修
大山滝吊橋を改修するとともに、中国自然歩道の一向平から三徳山に至る区間の歩道改修や標識整備等を行う。三徳山において休憩施設を新設するとともに、蜜坊駐車場にトイレの新設を検討する。
中国自然歩道とサイクルロードが重複するロングトレイルルートについて、各種誘導看板や路面標示等を設置し、ユーザーの利便性を向上させ、サイクルツーリズムの聖地化を目指す。
大山周辺のロングトレイル上にある老朽化したベンチやテーブル等を改修し、利便性の向上と安全・安心を確保する。