イベント・総会など

27年ぶり鳥取で全国知事会議~地方から未来を拓く「鳥取宣言」採択~人口減克服へ結束

投稿日:2026年07月24日 02:01 更新日:

 全国の知事や副知事らが一堂に会する「令和8年夏の全国知事会議」が7月15日から17日までの3日間にわたり、鳥取県内で開催された。参加者は47都道府県知事・副知事ほか約560名に及ぶ。

 鳥取県での開催は平成11年(1999年)以来、実に27年ぶり。会場となった鳥取市青谷町のダイキンアレス青谷には、全47都道府県の知事・副知事をはじめ、随行者、政府関係者、報道陣など約560名が結集した。
 会議では人口減少対策や地方創生などを巡り熱い議論が交わされ、最終日には歴史的決議となる「鳥取宣言」および「人口戦略の推進を断行し持続可能な未来を拓く行動宣言」が決定・公表された。

47都道府県が結束「地方の反転攻勢へ」

 鳥取県の平井伸治知事をはじめとする全国の知事は、世界情勢の不透明化や物価高、急激な人口減少という「激流」に対し、国まかせではなく自治体が主導して構造変革に取り組む強固な意志を固めた。

 15日の理事会(東伯郡湯梨浜町の望湖楼にて開催)を皮切りにスタートした今回の知事会議は、ダイキンアレス青谷を主会場として16日・17日の2日間にわたり本格的な論議を展開。「地方自治・民主主義の確立に向けた決議」や「参議院選挙における合区の解消に関する決議」、「地方創生・地域未来戦略推進への提言」、「地方税財源の確保・充実等に関する提言」など、合計29におよぶ最重要議題について慎重な審議が重ねられ、全会一致で決定された。

 決定された各提言・決議等については、各所管委員長県が分担し、国会および各担当省庁に対して速やかに要望活動を実施する方針だ。

総務大臣との意見交換会も白熱

 16日に実施された総務大臣との意見交換会では、地方制度、人口減少対策、地方創生・地域未来戦略の3大テーマを中心に、知事会代表6名が大臣と直接対峙した。
 人口減少対策の質疑において、平井知事は全国知事会人口戦略対策本部長として策定した「行動宣言」を提示。「人口減少は国家の存立に関わる最大の問題。地方税財政での支援や規制緩和を含め、国と地方がまさに『車の両輪』となって強力に推進する体制の構築が不可欠だ」と強く要請した。
 これに対し総務大臣側からも、地方の実情に即した柔軟な財政支援や制度設計において連携を深めていく姿勢が示された。

5つのテーマで分科セッション実施

 同日午後に実施されたテーマ別セッションでは、「行政におけるAI活用」「ジェンダー平等」「子ども子育て支援」「スマートシュリンク(賢い縮小)」「地域人材戦略」の5分野に分かれ、有識者を交えた高密度の意見交換が行われた。
平井知事は「ジェンダー平等」セッションに参加。鳥取県が全国に先駆けて推進するアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)解消運動や、企業向けの独自支援策を詳しく紹介し、参加知事らの関心を呼んだ。

人口減克服へ「人口戦略推進チーム」を新設、データ分析に基づく効果的施策を全国展開

客観データで課題を可視化

 今大会の最重要成果の一つが、全国知事会「人口戦略対策本部」(本部長・平井鳥取県知事)のもとに新設された「人口戦略推進チーム」の創設である。

 同チームは、若者や女性の地方からの流出を食い止める「社会減対策」と、ナショナルスタンダードとしての「自然減対策(子育て支援等)」の双方において、感情論や経験則にとらわれない客観的データの分析・検証を徹底的に行うことを柱としている。

 チームの構成員は人口戦略対策本部の役員府県(本部長・副本部長)で構成され、機動的な意思決定と提言取りまとめを行う仕組みだ。

「人口減少地域特区」創設を国に要望へ

 推進チームの当面の具体的な活動案としては、まず政府に対して専門家や実務者を交えた国・地方合同の「分析・検証の場」を設置するよう要求していく。さらに、現場のニーズに対応した「人口減少地域特区」の創設など、大胆な規制緩和と裁量権拡大を国に強く求める方針だ。

 あわせて、各都道府県から「データに基づき顕著な成果を上げた優良事例」を公募・集約し、全国の自治体へフィードバックするプラットフォーム機能も担う。

若い世代・女性の参画を本気で推進

 「人口戦略推進チーム」の運営において特に強調されたのが、若者や女性の意見反映である。施策の立案や実施プロセスに直接参加できる機会を積極的に導入し、若者が将来に希望を持てる社会環境づくりに注力する。

 また、経済団体や労働団体、民間組織「未来を選択する会議」とも深く連携し、地方版シンポジウムの開催などを通じて社会全体の意識を変革する「国民運動」へと昇華させる構想だ。

項目 人口戦略推進チームの主な活動方針
国との連携 政府との合同分析・検証の場を設置し「車の両輪」体制を確立
制度改革 「人口減少地域特区」創設など自治体への裁量権拡大要望
情報共有 エビデンスに基づく先進・成功施策の全国フィードバック
国民運動 経団連・連合・民間組織「未来を選択する会議」等との強力連携

「鳥取宣言」に込められた地方自治の神髄

 17日の最終日に発表された「鳥取宣言」は、鳥取の風土と歴史に想いを馳せた極めて叙情的な、かつ力強い文章で綴られている。
 宣言文では、鳥取砂丘の砂粒が風に抗いながら美しい「風紋」や「砂柱」を造り出す姿を、過酷な課題に立ち向かう地域住民の実相に重ね合わせた。また、鳥取県が日本で初めて制定した「手話言語条例」が全国の自治体を動かし、最終的に国の「手話施策推進法」へと結晶化した史実を挙げ、「地域が正しいと信じる施策を自ら果敢に実践すれば、社会全体を変えることができる。これこそが地方自治の効用だ」と宣言した。

 さらに、因幡国守として万葉集の最後を飾る名歌「新しき年の始の初春の今日降る雪のいや重け吉事」を詠んだ大伴家持を引き合いに出し、「吉事(よごと)をもたらそうとする営みは今も昔も変わらない。現場主義の精神で日本を動かす」と固い決意を表明した。

鳥取宣言の重要骨子:8つの未来戦略

「鳥取宣言」で提示された主要政策課題と、全国知事会が一致して取り組む具体的アクションの要点は以下の通り。

1 国家ビジョンの策定とOSのバージョンアップ
 国に対し、長期的な国家ビジョンの提示を要求。国・地方の役割分担や公費負担のあり方を含めた社会の基本設計(OS)の根幹的刷新を求めていく。

2 人口戦略推進チームによる国民運動展開
 「人口戦略推進チーム」を即座に動かすとともに、経済界・労働界とスクラムを組み、国と一体となった国民運動を強力に展開する。

3 人材戦略の国家戦略化と地方還流
 高校教育改革やリスキリング支援を地域で進めつつ、移住・転職・副業を通じた人材の地方還流、大学配置の最適化を国家戦略として要請する。

4 ジェンダー平等と無意識の偏見(バイアス)解消
 固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの解消に向け、国と都道府県が一体となって強力な施策を推進する。

5 子育て支援のナショナルスタンダード化
 子ども医療費助成や保育無償化など、居住地域を問わず安心できる「全国一律制度」の確立を国に求め、地方はきめ細かな独自施策で支える。

6 全世代型社会保障と医療・介護基盤の確保
 2040年を見据え、物価高・人件費高騰に対応できる効率的・効果的な全世代型社会保障体制を構築する。

7 「スマートシュリンク(賢い縮小)」の追求
 「縮小」の連鎖を防ぐため、行政サービスの最適化・再構築を図り、時代の要請に即した自治のあり方を探求する。

8 AIトランスフォーメーション(AX)の推進
 AIの積極的な利活用により、行政サービスの高度化、地域産業の生産性向上、深刻な人手不足への対応を急速に進める。

人口戦略の推進を断行し持続可能な未来を拓く行動宣言(全文)

 人口減少問題を克服し、次の世代に持続可能で夢や希望を描くことができる未来を拓くためには、地方自治体だけでなく、企業や地域社会、教育機関をはじめとする様々な主体による連帯した取組が必要不可欠であり、特に若者や女性が参加する取組を積極的に推進することが重要である。

 昨年11月には高市早苗内閣総理大臣を本部長とする「人口戦略本部」が内閣に設置され、「我が国最大の問題は人口減少」という認識のもと、「人口減少対策を総合的に推進する」方針が示された。

 今後は国と地方とが率直にコミュニケーションをとりながら、一致協力して対策を分析・研究し、実効性ある施策を実行に移していくとともに、さらなる社会の気運醸成に向けて、全国知事会としても、若者世代を含む幅広いステークホルダーが参画する民間組織「未来を選択する会議」へ積極的に参画をしていくことが重要となる。併せて、経済団体や労働団体をはじめとした各界各層と連携して国民運動を展開する必要がある。

 我々知事は、鳥取に集い、下記のとおり人口戦略を推進し、都市部・地方部とが支え合い、ともに人口減少問題を克服し持続可能な未来を拓き発展していくため、この国の構造変革に向け一致結束して時代を変えていく決意で行動を起こすことをここに宣言する。

 全国各地への新たな人の流れを生み出し、若者や女性にも選ばれ、地方からの人口流出の緩和につなげる社会減対策、地域間格差のないナショナルスタンダードとしての子ども・子育て支援等による自然減対策、人口減少下でも住み続けられる豊かで持続可能な地域づくりに向け、人口戦略を実効あるものとするため、社会・自然増減を含め客観的なデータに基づき分析・検証を行い、実情を踏まえた効果的な対策を講じるための「人口戦略推進チーム」を設ける。

 その際、若者や女性の意見を丁寧に聞き取り、または施策の立案・実施に直接参加する機会や手法を積極的に取り入れ、男女を問わず若者が未来に希望を持てる気運醸成や環境整備に取り組む。

 人口戦略を強力かつ総合的に推進するため、国と地方との間での十分なコミュニケーションを図り、我々地方の実情や現場の声に基づき国の人口減少対策を構築し推進するよう国に強く求める。

 また、人口減少地域における持続可能な生活基盤に資するため、「人口減少地域特区」の創設など、規制緩和等の特例や地方が地域の実情に即した創意工夫ある取組を自由に展開できるよう、地方への裁量権の拡大などの検討を国に求めていく。

 併せて、民間組織「未来を選択する会議」や一般社団法人日本経済団体連合会をはじめ各界各層と連携して、地方版シンポジウム開催への連携・協力や分かりやすい情報発信等を行い、若者や女性をはじめ、年齢や性別にかかわらず国民が幅広く参加する形で、人口減少対策の後押しをする社会全体の構造や意識の改革を進める国民運動を発展させていく。

 これらの活動を通じ、多面的・複合的な要因からなる人口問題に対して、各分野にわたる政策を連携させ、共通目標の実現を目指す「政策リンケージ」を構築・実行し、国と地方、また国民・各界・行政の強力なプラットフォームの構築を図り人口減少により直面する困難を克服していく決意である。

-イベント・総会など
-

執筆者:

関連記事

no image

鳥取県管工事業協会 令和6年度定時総会開催 来賓に赤沢参議

鳥取県管工事業協会の定時総会が令和6年5月17日、ホテルニューオータニ鳥取で開催され、来賓に赤沢亮正参議が出席。

no image

鳥取県建築士会東部支部 6月3日通常総会開催~赤山支部長再選

 令和4年6月4日、鳥取県建築士会東部支部の第54回通常総会がホテルニューオータニ鳥取・鶴の間で開催され、役員改選の結果、赤山渉氏(赤山建築設計事務所)が満場一致で支部長再選となりました。  総会冒頭 …

石破代議士講演「若桜鉄道を活かした地域活性化」~セミナーに鳥取市、八頭町、若桜町から60名参加

 自由民主党鳥取県八頭郡第一支部(支部長 福田俊史)が主催する「地域活性化セミナー~若桜鉄道を活かした地域活性化について」が24日午後2時から鳥取市新本庁舎で開催され、石破代議士が1時間にわたって「若 …

no image

令和6年度 鳥取市優良建設工事表彰式 10月2日開催

令和6年度鳥取市優良建設工事表彰が今日10月2日午前10時30分から鳥取市役所で開催される。 業者名と対象工事、担当課は以下の通り。 1土木一般B 青谷建設布袋工業団地道路整備工事 道路課 2土木一般 …

no image

高速道路「未整備区間」の早期解消へ~10県知事会議が政府・与党へ緊急要望~平井知事ら予算満額確保と4車線化推進訴え~

 高速道路の未整備区間(ミッシングリンク)を抱える全国10県の知事らでつくる「高速道路のミッシングリンクを解消し日本の再生を実現する10県知事会議」は令和8年7月6日、財務省、国土交通省、自由民主党に …