近年の激甚化・頻発化する水害へ対応するため、鳥取県では流域のあらゆる関係者が協働する「流域治水」と、国・県・市町村が連携した「減災対策」を一体的かつ計画的に推進している。令和8年6月に県内3地区で協議会が開催され、連携して目標達成に取り組むことが確認された。
県土整備部河川課は6月25日、県議会に開催状況などを報告した。
1. 開催概要と構成員
協議会は以下の日程で地区ごとに開催された。
中部地区: 令和8年6月1日(月)
東部地区: 令和8年6月4日(木)
西部地区: 令和8年6月5日(金)
【主な構成員】
県内の市町村長をはじめ、国土交通省(河川国道事務所長等)、鳥取地方気象台長、農林水産省(中国四国農政局長)といった国の機関、および鳥取県の危機管理部長、農林水産部長、企業局長、県土整備部長、各農林・県土整備事務所(局)長などが一堂に会し、部局や組織の垣根を越えた連携体制を敷かれている。
2. 議事の詳細
(1) 出水期の天候見通しと新たな防災気象情報の運用
天候の見通しについて、鳥取地方気象台は「令和8年8月までの気温は平年より高め、降水量は「平年並みか少し多くなる」との見通しを示し、出水期への警戒を呼びかけた。
新たな防災気象情報の運用と水位情報の見直し
鳥取県河川課の報告によると、令和8年5月28日から新たな防災気象情報の運用が開始されたことに伴い、県が管理する「洪水予報河川」および「水位周知河川」において氾濫発生水位が新設された。これにより、今後は最高警戒レベルである「レベル5氾濫発生情報」が発表される体制へと移行する。
(2) 第2期取組方針(令和4〜8年度)に基づく減災対策の推進
急流河川が多く、水位が急激に上昇しやすいという鳥取県管理河川の特性を踏まえ、ハード・ソフト両面を組み合わせた「とっとりらしい防災・減災対策」を進めていく。これにより「地域防災力の強化」と「安全・安心で活力ある地域づくり」をめざす。
◆ 鳥取県の主なハード・ソフト対策
①流下能力向上: 河川整備計画に基づく河川改修、河道内の樹木伐採、河道掘削を推進。
②地域防災力の向上: 住民同士が災害時の避難行動などを確認し合う、地域の「支え愛マップ」づくりの支援。
③情報インフラの整備: 河川水位計や河川監視カメラの整備促進、および「鳥取県防災情報ポータルサイト」や「あんしんトリピーメール」による迅速な情報提供。
④農業分野との連携(田んぼダム): 大雨時に水田の貯留機能を利用して河川への流出を緩やかにする「田んぼダム」の取組拡大に向け、出前説明会の実施や水田の貯留機能向上に向けた整備を推進。
◆ 各市町村の特色ある具体的な取組
各自治体の地域特性に応じた、デジタル技術の活用やインフラ整備などの取組が報告された。
〇鳥取市: 「鳥取市防災ポータルサイト」や独自の防災アプリの運用による情報発信。
〇倉吉市: 水害時の強制排水に備えた排水ポンプ車の導入、および排水路監視カメラの設置。
〇境港市: 内水(建物や土地への浸水)ハザードマップの作成・配布や、「さかいみなと消防・防災フェア」を通じた住民への啓発。
〇三朝町: 地区協議会が主体となった防災対策や避難所運営訓練の実施。また、消防団の情報共有を効率化するDXアプリ「コミュたす」を活用。
〇湯梨浜町: 東郷池の周辺で発生する内水被害を軽減するため、新町排水機場の整備や総合防災訓練などを実施。
〇江府町: 広報誌を用いた新しい防災気象情報の啓発活動。さらに「日野川流域治水オフィシャルサポーター」に認定された地元企業と協力し、官民一体となった流域治水を実施。
3. 県からの情報提供:雨水貯留タンク設置助成事業の新設
家庭や事業所での「雨水の貯留」を促し、流域全体での流出抑制を図るため、令和8年度から新たに雨水貯留タンク設置にかかる助成事業が紹介された。
〇補助対象: 県内の住宅等に雨水貯留タンクを設置する個人など。
〇事業の仕組み: 県が市町村に対して補助を行い、市町村が住民へ助成する「間接補助」の形をとる。
〇8年度の運用自治体: まずは鳥取市、倉吉市、湯梨浜町の3市町が先行して助成制度を設け、運用を開始した。
補助割合と上限だが、 費用負担は「市町村 1/3、県 1/3、個人 1/3」の割合となり、1戸あたりの県からの補助金上限は2万円に設定された。市町村からの補助と合わせることで、個人の負担が軽減される。