中部県土整備局計画調査課は、温暖化により河川上流域を遡上する塩水から農地を守る表層取水装置を開発、11月中旬に実証実験を行う。全国初の取り組み。

(上は表層取水装置のメカニズム)
温暖化抑止は世界的な課題と位置付けられており、今後、温暖化対策を徹底しても2100年までに40センチ、対策を取らなかった場合は約1.0mの海面上昇が起こる。島々の消滅や海岸線の消失をはじめ、河川への塩水流入が農地に壊滅的な打撃を与えることが危惧されていた。
中部県土では計画調査課の松井俊樹係長、また空港港湾課の安本善征課長補佐を中心に塩水対策を検討。由良川の水田地帯を保全する表層取水装置の開発について、建設技術研究所と共同で取り組んでいた。
装置は比重が重く水底に滞留する塩水を避けるため、フロート(浮き輪)を付けた取水口を設置することで水面近くに固定。今年8月に実施した基礎実験(サイトウコンサルタントが実施)では、最大取水量8.7m3/minに対して、塩分濃度の低い安定した表層水を汲み上げることを確認した。取水装置の製作はゼニヤ海洋サービスが担当した。
なお、開発には塩水遡上現象を的確に対処する必要があるため、準三次元数値解析モデルを導入した。
11月に実施する実証実験は、北栄町瀬戸の県道亀谷北条線沿いで、東側隣接地にソーラー発電施設がある。ここで既設のポンプ施設に接続し、取水装置が現状の取水量に対応できるか確認する。実施期間は3日程度を想定している。
同所では10数基の取水ポンプが由良川から農業用水を汲み上げているが、そのほとんどが水底に設置されており、地元から「将来的に営農できなくなるのではないか」と不安視する声が上がっていたが、表層取水装置が実用化されることで、農地保全に飛躍的な効果が期待でき、今後、他県でも導入に拍車がかかるものとみられている。

(実証実験の実施予定箇所)

(今年8月6日~7日に行った基礎実験のようす)