県生活環境部水環境保全課は21日、天神川流域下水道の複合バイオマス資源の有効活用について、民間事業者に提案募集していたが、3者から提案があり審査の結果、月島機械・三光グループを最優秀者とした。
下水汚泥を中心とした複合バイオマス資源をどのように活用するか検討するための予備調査として、バイオマス資源の活用方策を民間事業者から募集したもので、以下に審査結果を報告する。審査は令和3年3月9日に実施した。
また、今後は行財政改革局等で精査し、詳細な導入可能性調査を実施するかどうかを関係者と検討する。
【検討の経緯等】
(1)目的
人口減少に伴う使用料収入の減少や施設の老朽化に伴う更新投資の増大といった下水道事業が抱える諸課題に対応するため、経営基盤強化が求められており、天神川流域下水道も民設民営を基本として、下水汚泥を中心とした地域バイオマス資源の有効活用策を検討することにした。
(2)検討体制(鳥取県複合バイオマス資源利活用検討会)
鳥取県複合バイオマス資源利活用検討会を設置し、募集要項を検討。令和3年3月9日に提案を審査した。審査委員は以下の通り。
・高部祐剛氏(鳥取大学工学部社会システム土木系学科准教授)
・戸苅丈仁氏(公立鳥取環境大学環境学部環境学科准教授)
・柳 年哉氏(公立鳥取環境大学経営学部経営学科教授、公認会計士)
・中江美代子氏(公益財団法人鳥取県天神川流域下水道公社主幹)
・中西朱実(鳥取県生活環境部くらしの安心局局長)
※オブザーバーとして、天神川流域下水道の構成4市町も参加した。
【民間提案の状況】
(1)提案の主な条件
〇対象施設の範囲
バイオマス資源受入・前処理施設、汚泥消化施設、バイオガス有効利用施設(ガス発電、燃料化等)、汚泥有効利用施設(固形燃料化、たい肥化等)
〇事業期間
設計・建設を3年以内で、維持管理・運営期間は20年間とした。
〇事業手法
民設民営を基本とし、PFI方式等の提案も可能とした。その条件として、県や市町から新たな投資がないこと、またはきわめて低廉であることを挙げた。例えば、現行の汚泥外部処理委託費(1万5500円/t)の削減が求められた。
(2)民間提案の概要
3者が提案書を提出したが、費用低減効果を提示したのは提案B(月島機械・三光グループだけで、20年間で約2.2億円を削減するとした。
| 提案B(月島機械・三光グループ) | 県汚泥消化施設・町高濃度濃縮機整備事業(DBO)+消化ガス発電事業(民設民営) |
| 提案C(共和化工・因幡環境整備) | 県汚泥肥料化施設整備事業(DBO) |
| 提案A(株式会社クボタ) | 県汚泥消化施設整備(DBO)+消化ガス発電事業(民設民営) |
※DBO→公共が資金調達し、施設の設計・建設、運営を民間が一体的に実施する方式
※消化ガス→下水汚泥を発酵させる過程(消化)で発生するメタンを主成分とした可燃性ガス
(3)審査結果(令和3年3月30日公表)
審査基準に基づく評価点により順位を決定するとともに、提案募集の主目的である「天神川流域下水道の持続可能性の向上」の観点から検討を行った結果、第1順位者を最優秀提案として選定した。
| 順位 | 提案者名 | 評価点 | 備考 |
| 1 | 提案B(月島機械・三光グループ | 243点/500点 | 最優秀提案 |
| 2 | 提案C(共和化工・因幡環境整備) | 133点/500点 | ~ |
| 3 | 提案A(株式会社クボタ) | 110点/500点 | ~ |
1 提案B
オフライン広域連携バイオマス拠点化プロジェクト・月島機械・三光グループ:第1位(243点)
(概要)
○広域連携事業(DBO)
・中部4町公共下水道の脱水機(高価)に替えて、高濃度濃縮機(安価に更新することを県・流域事業によりまとめて行い、濃縮汚泥をタンクローリーで運搬して天神処理場で集約処理する。
・天神処理場に下水汚泥の消化施設を新設し、町の濃縮汚泥と併せて消化ガスを発生させる。
・消化ガスをガス発電事業者に売却する。
○消化ガス発電事業(民設民営)
・消化ガスを県から購入し、敷地内に設置したガス発電機により発電のうえ売却する。
○地域連携事業(提案に関連して事業者が独自に実施する事業)
・WET系廃棄物(廃牛乳やグリストラップ汚泥)を収集し、発酵促進剤に加工する。
・その発酵促進材を県に売却のうえ消化槽に投入し、ガス発生量を増大させる。
(主な設備)
高濃度濃縮設備(中部3町の公共下水道に設置)、汚泥消化設備、消化ガス発電設備
(利用資源)
下水汚泥(天神浄化センターと町公共下水道)、廃牛乳とグリストラップ汚泥
(費用対効果)
20年間で約2.2億円の負担軽減
2 提案C
天神川流域下水道バイオマス資源のエコリサイクル事業・共和化工・因幡環境整備:第2位(133点)
(概要)
○肥料化事業(DBO)・天神浄化センター内に肥料化施設を新設
・天神浄化センターの脱水汚泥の処理を肥料化事業者に委託
・事業者は生成した肥料をグループ内農業法人や地域農家で活用(基本的に無償)
(主な設備)
肥料化設備、脱臭設備、製品化設備
(利用資源)
下水汚泥(天神浄化センター)
(費用対効果)
20年間で約0.1億円の負担増
3 提案A
下水汚泥由来バイオガス有効利用事業・㈱クボタ:第3位(110点)
(概要)
○汚泥消化施設整備事業(DBO)
・下水汚泥の消化施設を新設し消化ガスを発生させる。
・消化ガスをガス発電事業者に売却
○消化ガス発電事業(民設民営)
・消化ガスを県から購入し、敷地内に設置したガス発電機により発電のうえ売却。
(主な設備)
汚泥消化設備、消化ガス発電設備
(利用資源)
下水汚泥(天神浄化センター)
(費用対効果)
20年間で約17.7億円の負担増