
令和8年6月定例議会で東田義博県議による一般質問が行われたが、先日、県議より議事録が送付されてきた。今回の質問では、地域の持続可能な発展に向けた「関係人口・二地域居住の拡大と地域活性化」をテーマに、県の強みを活かした戦略や教育現場での新たな取り組みについて、地域の現状を背景にした論理的、より実践的な提案を打ち出している。
1. 趣味や嗜好でつながる「ファンダム戦略」の取り組み
東田議員は、鳥取県が持つ「漫画、遺跡、自然、食文化、アウトドア」といった多面的な強みに着目し、これらを活かして熱量の高いファン層(ファンダム)を創出し、関係人口の拡大や二地域居住と移住定住へとつながる戦略を今後どのように発展させていくか質問した。
これに対し、平井知事は「アニメ資源の活用と実績について振り返ると、”名探偵コナン”や”水木しげる生誕祭”をはじめとしたイベント~コナンまつり等~を通じて熱心なファン層が定着。実際に移住や起業にいたる好事例が生まれている」と挙げたほか、関係人口の組織化では「ボランティア参加者の交通費を助成する制度”とりんぐ”や、関西・東京圏での”ファンクラブ”、”ウェルカニネットワーク”などを通じて、関係人口のさらなる深化と組織化を図っていきたい」と方針を示した。
2. イノベーションバレーによるデジタル人材の誘致
続いて東田議員は、都市部のIT人材やクリエイターを呼び込むための環境整備について質問 。サテライトオフィスやコワーキングスペースを整え、デジタル技術を活用した地域の強靱化(DX推進)をどう進めるか問いかけた。
知事からは、県内各地で進むインキュベーション拠点の具体的な動きについて「八頭町の”隼Lab.”、智頭町の旧小学校跡、鳥取市街地の”SANDBOX”や”カトカミ”など、特色ある拠点がすでに機能している」と示唆し「 これらの拠点をきっかけとしたベンチャー起業や移住の成果が出ていることから、県としては今後も中山間地域でのビジネス創出に対し、手厚い支援とプロモーションを継続したい」と話した。
3. 二地域居住の壁を崩す「デュアルスクール」の導入検討
東田県議は「家族での二地域居住を進める上で、大きなハードルとなっているのが”子どもの就学”問題。住民票を移すことなく都会と地方の学校を柔軟に行き来できる『デュアルスクール(多地域就学事業)』を県内で導入すべきではないかと提案。
この提案に対し、教育長から「徳島県などの事例や国の弾力的運用に関する通知を把握しており、人口減少下で学校を核とした地域コミュニティを維持する上で、非常に効果的な手法」と評価した。
東田県議は、学籍移動の手続きや学習進度の調整といった実務的な課題はあるものの、「まずは中山間地域の市町村への情報提供から始め、前向きに仕掛けを考えたい」と話した。
まとめ
今回の東田議員の一般質問では、これまで働き手(父親・母親)を中心とした移住定住から、子供たちの目線に切替え、鳥取県の豊かな地域資源とデジタル環境の中で親子がともに生活し、学び、体験する環境を整備することで、新しい人の流れを呼び込もうとする具体的な戦略が浮き彫りになった。
特に「デュアルスクール」のような新しいライフスタイルに寄り添う教育制度の検討は、今後の二地域居住・移住促進へ強力な後押しとなることが期待される。