1. 背景と経緯:台風7号による大規模な孤立事態と課題
令和5年8月15日、鳥取県を襲った台風第7号による記録的な豪雨は、鳥取市佐治町の主要幹線道路である「一般国道482号」と「県道小河内加茂線」の全面通行止めを引き起こした。これにより、翌16日午前8時時点で佐治町内の735世帯・1,597名もの住民が一時完全に孤立するという深刻な事態へと追い込まれた。
その後、県道小河内加茂線の通行が確保され、18日夕方には孤立状態自体は解消されたものの、佐治地域の住民に多大な不便と不安を強いることとなった。さらに孤立解消後も、国道482号が片側交互通行可能となる9月1日までの間、通常ルートの倍以上の所要時間を要し、幅員が狭くすれ違いが困難な県道小河内加茂線での迂回を余儀なくされた。
この事態を重く見た鳥取県は、令和5年9月補正予算において「災害激甚化防止防災機能向上専門家調査事業」を予算化。災害に強い地域づくりに向け、鳥取大学の有識者から専門的な知見を交えた意見を聴取し、インフラ機能強化のための調査研究に取り組んだ。
2. インフラ機能強化に向けた3つの整備方針
有識者調査研究に基づき、将来的な激甚災害への耐性向上と確実なリダンダンシー(迂回路機能)の確保をめざし、以下3箇所の道路機能強化を重点推進対象として計画した。
①一般国道482号(佐治町森坪~高山): 防災機能強化のための本格的な道路改良
②一般国道482号(佐治町余戸): 再度の土砂崩落を防止する土砂流出対策
③県道小河内加茂線(佐治町津無~福園): 迂回路機能向上のための道路改良
3. 重点プロジェクトの実施計画と最新進捗
① 一般国道482号~鳥取市佐治町森坪道路改良事業(防災・安全交付金事業)
最も脆弱性が露呈した森坪工区において、安定的な2車線通行を確保するための道路改良(3車線化)を行う、最大規模の主要プロジェクトと位置付けた。
〇全体計画: 延長 L=1,060m、幅員 W=8.25m(総幅員 9.75m) 2車線→3車線拡幅改良
〇全体事業費: 25億9,000万円(計画期間:令和7年度~令和17年度)
〇令和8年度当初予算: 5,000万円(測量設計、地質調査、用地補償等)
〇残事業費: 24億4,000万円
動向と展望
令和7年度にウエスコをはじめとするコンサルタントが設計業務を受注し、詳細設計や地質調査が本格始動した。令和8年7月現在も設計業務が鋭意進行しており、早期の工事着工に向けた準備が進められている。直近となる「令和8年9月補正予算」において工事費が追加・前倒し計上されるかどうかが今後の大きな注目点となっている。
②一般国道482号(佐治町余戸)土砂流出対策
斜面の安定化および道路への土砂流入を食い止める防護柵等の設置が計画されており、令和6年度から詳細設計に着手。令和8年6月下旬に一部着工した。
③県道小河内加茂線(佐治町津無~福園)迂回路機能向上事業
国道482号の代替ルート(リダンダンシー)として重要となる本路線では、ボトルネックとなっている狭隘区間の解消や待避所の設置など、局所的な線形・幅員改良を推進する。
〇津無~高山工区(計画L=1.6km)=令和7年度に認可額1,500万円(用地測量1,000万円、用地補償500万円)を計上。令和8年度は要求額6,000万円を工事費に充て、本格的な道路改良工事に備える。

〇高山~福園工区(局所改良4箇所)=令和7年度に測量設計(1,500万円)を完了。令和8年度は1,500万円(測量設計1,000万円、用地補償500万円)を要求し、順次プロセスを進めていく。

4. 今後の課題と地域連携
山間部の険しい地形における施工となることや、用地買収・立木補償、工事期間中の通行規制など、事業の迅速な推進には地元住民や関係地権者の理解と緊密な連携・協力が不可欠。鳥取県土整備事務所と鳥取市都市整備部は今後も強固に連携・協調し、災害に強い安全・安心な地域づくりの実現に向けて取り組まなければならない。
