鳥取市経済観光部は6月18日、令和8年6月市議会定例会において、経済観光部が所管する一般会計と特別会計の6月補正予算案を提示した。一般会計の補正額は6億3,719万2,000円の増額となり、補正後の総額は14億9,673万3,000円。
今回の補正予算は、国の創生交付金を活用した「スマートエネルギータウン構想」の推進をはじめ、物価高に直面する中小企業への経済支援、さらに観光振興と伝統文化の継承など、持続可能な未来への投資を強く意識した編成となっている。
1. 脱炭素社会を見据えた「スマートエネルギータウン構想」の大幅拡充
今回の補正予算で最大のウェイトを占めるのが、経済・雇用戦略課スマートエネルギータウン推進室が主導する脱炭素施策。国からの「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」など4億4,500万2,000円を財源に、地域一体となった再エネ導入を加速さる。
【若葉台エリアにおける大規模太陽光発電整備】
民間事業者(㈱スマートエネルギーとっとり)と連携し、若葉台南エリアの公社地に3,200kW規模の野立て太陽光発電設備を整備する。年間発電量は一般家庭約780世帯分に相当する3,050MWhを見込んでおり、令和8年10月に着工、令和9年4月の運転開始を目指す。さらに、本事業の持続化に向けた補助金として8,891万8,000円の債務負担行為を設定し、長期的な再エネ安定供給体制を確立する。
【佐治町エリアでのEV・充放電設備導入】
過疎地域対策の一環として、さじアストロパークに太陽光発電設備と電気自動車(EV)、および充放電設備(V2Xシステム)を導入する。これにより再生可能エネルギーの自家消費を最大化するとともに、災害発生時にはEVの蓄電池を避難所の非常用電源として活用できる防災拠点を構築する。
2. 長引く物価高・円安への対応と中小企業支援
エネルギー価格や原材料費の高騰、さらに変動の激しい為替(円安)の影響を受ける市内中小企業へのセーフティネットとして、「地域経済変動対策資金利子補給金」に2,588万8,000円を追加投資します。これは県の融資制度と足並みを揃え、一定の売上減少等の要件を満たした中小企業者の利子負担を補助(当初3年間)するもので、資金繰りの安定化を強力にバックアップする。
3. 外部専門人材の登用による「産学官金」連携と地域創業支援
総務省の「地域活性化起業人」制度を戦略的に活用し、都市部の大手民間企業から専門知識を持つ人材を招致・常駐させる。
◎デロイト トーマツとの連携(457万5,000円)
令和8年7月にグランドオープンを予定しているまちなかビジネス創造スクエア「力トカミ」に、国立大学法人鳥取大学と連携した起業・創業の伴走支援拠点を設置。デロイト トーマツの専門人材が常駐し、大学の研究成果(シーズ)のビジネス化を支援する。
◎農協観光との連携(406万7,000円)
観光コンベンション協会に専門人材を配置し、観光や農業など一次産業と地場物産を横断的に結びつけた新しい地域活性化モデルの構築を目指す。
デロイトトーマツとは?
合同会社デロイト トーマツ(Deloitte Tohmatsu LLC)は、東京都千代田区丸の内に本拠を置く、デロイト トウシュ トーマツ(デロイト)グループのコンサルティング企業。世界最大規模の会計事務所であるデロイトの主要メンバー企業であり、世界150か国、25万人以上の専門家が連携し、経営戦略、M&AやITアドバイサリーなど多岐にわたる専門サービスを提供する世界最大級のグローバル経営コンサルタントの一つ。(ウィキペディアより)
4. 観光魅力の向上と伝統文化・地域コミュニティの継承
アフターコロナにおける観光需要の定着と、地域ならではの資源の磨き上げに向けた予算も多数盛り込んだ。
特筆すべきは、企業版ふるさと納税(2,000万円)を財源とした「鳥取城跡ドローンショー開催事業」。歴史的資源である鳥取城跡を舞台に最新テクノロジーを用いた夜間イベントを展開し、新たな観光動線と「まちなか」の賑わいを創出。また秋の行楽シーズンに向けて、観光・ジオパーク推進課ではシルバーウィーク期間中の鳥取砂丘周辺の渋滞対策(2,740万5,000円)を講じ、受け入れ環境を整備する。
さらに、地元の伝統である「鳥取しゃんしゃん祭」の持続可能性を高めるため、しゃんしゃん傘の生産・供給体制を再構築する振興会補助金(529万1,000円)や、吉岡温泉エリアにおいて関係人口創出と人手不足解消を同時に図る「旅人協働型地域課題解決事業」(100万円)など、住民生活に根ざした活性化策への配慮も見受けられる。