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鳥取県土 令和8年度事業展望~塩見川水系河川改修事業

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 鳥取県土整備事務所が令和8年度に実施する土木事業のうち、二級河川塩見川水系における河川改修事業の進捗状況と今後の整備方針をまとめた。

【背景】
 塩見川水系では、昭和47年7月と昭和51年9月の洪水により甚大な被害が発生したことを受け、昭和54年度から浸水被害の解消を目指した改修事業に着手した。息の長い事業だ。
 近年においても平成16年9月や平成18年7月に大きな家屋浸水被害(床上浸水11戸、床下浸水24戸)が発生したため、狭窄部であった如来橋の改築や支川の箭渓川(やだにがわ)合流部の改修を重点的に実施し、平成29年7月に完了した一連の整備によって床上浸水被害の解消(11戸から0戸へ低減)を達成した。

 現在は、さらなる治水安全度の向上と流域の安全確保に向け、主に「塩見川本川(福部駅前工区)」、「支川・箭渓川放水路工区」、そして「支川・江川流域」の3つの軸を中心とした整備方針が策定された。それぞれの詳細な方針を以下にまとめた。

1. 塩見川本川(福部駅前工区)の整備方針

 令和7年度にJR福部駅周辺の「福部駅前工区」を中心に工事を推進し、一部区間での開削が進んだことにより新たな河道形状が姿を現し始めた。また、同工区内の「塩見橋」の架替え工事も順調に進行中。

【令和8年度実施計画:】
 令和7年度からの繰越工事として進めている地盤改良工事と縁切り矢板の打設工事を継続するとともに、令和8年度からは塩見橋の「下部工(橋台・橋脚等)」と新たな「樋門工事(本体工事)」に本格着手する。今後も駅前工区全体の早期完成を目指し重点的に工事を推進する。

2. 支川・箭渓川放水路工区の整備と管理方針

 箭渓川放水路工区については、地域住民や関係機関との丁寧な合意形成を図りながら詳細設計の取りまとめと管理体制の構築を進めている。

【管理移管方針の見直し:】
 地元からの意見・要望を踏まえ、放水路の整備に伴って必要となる道路の付け替えについて鳥取市と協議を行った結果、県道および市道の管理移管方針が見直された。

 〇水路機能の確保と設計の完了:
 放水路設置によって分断される既存の用排水路機能の確保について、地元関係者との調整を重ねた結果、整備方針に対する理解と同意が得られた。現在は、塩見川本川との取付部にあたる護岸詳細設計を実施しており、これが完了することで放水路工区全体の詳細設計がすべて完了する見通し。

【今後の課題と対応(排水樋門の操作委託):】
 塩見川の改修計画に伴って新設された「箭渓川排水樋門」について、これまで事前協議が行われていなかったため現時点では鳥取市への操作委託の対象外となっている。鳥取県は今後、箭渓川の整備状況を勘案しながら、管理に必要となる附属設備(量水板、照明等)を追加で設置した上で、市に対して操作委託に関する本格的な協議・調整への協力を要請していく。また施設整備に伴って新たに必要となる用地の取得についても、鳥取市と地元関係者と緊密に連携していく。

3. 支川・江川流域の浸水対策と「特定都市河川」先行指定

 支川の江川流域では、令和5年7月の豪雨によって床上浸水7戸、床下浸水8戸という深刻な被害が発生した。これを重く受け止め、従来の河川改修の枠組みを超えた「流域治水」への転換を急ピッチで進めている。

 当面のハード対策案(県・市の連携):として、
①令和6年度に県・市それぞれで実施可能な当面の浸水対策案を取りまとめた。鳥取県が行う整備案としては、目標流量を安全に流下させるため県管理区間の最上流端付近への「遊水地整備」や、河川整備計画策定済区間から上流河道(約0.95km)にかけた「河床掘削(0.3〜0.5m程度)」を計画。
また、鳥取市側は普通河川等の整備として「水路再編(河床掘削や護岸整備等)」を行う方針だ。

【浸水対策の目標設定:】
 塩見川水系の暫定計画と同等である「10年確率規模の降雨(W=1/10)」による床上浸水解消を短期目標、「30年確率規模の降雨(W=1/30)」による床上浸水解消を長期目標と設定し、効率的かつ実効性の高い総合治水対策の構築を目指す。
※令和5年7月豪雨の規模をそのまま対象とした場合、地理的・技術的制約から現実的な対策案の策定が極めて困難であるため、段階的な目標設定とした。

【「特定都市河川」の先行指定に向けた動き】
 本来、鳥取県は塩見川水系全体で「特定都市河川」の指定(特定都市河川浸水対策法に基づく指定)を目指して地元調整を行っていたが、本川地域の住民から排水ポンプ等の具体的なメニュー提示を求められたことから、本川側の調整が一時中断している。

 一方で、浸水被害が深刻で整備の遅れている江川流域で地元住民へのアンケート調査を実施したところ、指定に対して前向きな回答が得られた。特定都市河川に指定されれば、国からの優先的な予算配分や雨水貯留浸水施設整備への補助制度が活用可能となり、通常であれば「令和20年度以降(塩見川本川の整備完了後)」となるはずだった江川の河川・遊水地整備の大幅な早期着手が可能となる。

 このため、県・市・地元代表者で構成される「流域水害対策計画検討会」が令和8年3月23日に立ち上げられ、江川流域を先行して特定都市河川に指定(令和9年度第1四半期指定が目標)する方向で調整が急がれている。今後は指定後に策定する「流域水害対策計画(原案)」の検討が、鳥取市との緊密な連携のもとで進められる。

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