智頭町は令和5年度、老朽化した国指定重要文化財・石谷家住宅の屋根瓦葺き替えや耐震化など大規模改修に向けた基礎調査を実施。このほど調査結果の概要を明らかにした。それによると「石谷家住宅の現状は予想以上に良好で、今すぐに大規模な改修は必要としない」というものだった。長年、補修・修繕を手がけていた地元業者らの地道な作業が功を奏したようだ。
基礎調査を担当した公益財団法人文化財建造物保存技術協会(東京都)によると、屋根瓦は特注の石州黒瓦だが「ほとんどの瓦に損傷はみられず、天井もこまめな修繕・補修により適切に保存されている。また、約800枚程度の予備の瓦も保管しており、軽微な損傷なら対応できる」という。このことから智頭町では「3~4年間は経過観察し、改修のタイミングを見極め、あらためて改修に向けた諸費用の算定や改修範囲、改修にかかる工期など概略設計をまとめたい」と話している。一般的に瓦の耐用年数は約80年とされており、100年以上が経過した石谷家では大規模改修は避けられない。
仮に石谷家住宅の改修が決まっても、基礎調査には最低1年はかかり、詳細設計には2~3年が必要。改修工事も年次的に進めることになり、完成まで10年程度かかるかもしれない。
智頭町では「100年に一度の大規模な改修工事になるため、写真・ビデオなどで修復作業を記録するほか、修復中も一般公開したい」と話している。
なお、同協会では令和4年夏ごろから調査開始する予定だったが、県内全域で複数の文化財の調査に取り組むことになり、石谷家の調査に遅れが生じていた。令和5年度も仁風閣の改修設計などに取り組んでいる。
※以下は令和4年6月25日の記事
智頭町は老朽化した国指定重要文化財・石谷家住宅の屋根瓦の更新と耐震化に向けて、今秋に本格的な建物調査を実施する。調査は公益財団法人文化財建造物保存技術協会(東京都)に委託する。
同協会は6月末現在、東伯郡湯梨浜町の尾﨑家住宅を調査中で、この調査に2ヶ月程度かかるものとみられており、9月頃に石谷家の詳細調査に入る。昨年に続き2回目。昨年の調査では県文化財課の松本専門員も同行している。
調査後に智頭町が同協会と修復に係る詳細設計業務を委託(随意契約)する予定だ。設計は2か年程度かかる見込み。
なお、石谷家住宅を保存・管理・運営する石谷家財団の長石代表理事は「コロナ禍により県外客が激減し、深刻なダメージを受けたが、修復作業を公開することで智頭宿の魅力を発信したい」と話している。
(以下は令和3年9月28日の記事)
八頭郡智頭町は今年(令和3年)4月頃から、石谷家住宅の老朽化した屋根瓦や天井などを更新・耐震化する「大規模改修事業」について、公益財団法人文化財建造物保存技術協会(理事長 高塩 至、 東京都荒川区西日暮里2-32-15)に現況調査や事業計画策定などを依頼していたが、その詳細がまとまったことから、今日9月28日に金児町長ら幹部に改修範囲や工法、事業スケジュール、必要経費などを報告する。
また詳細設計業務も同協会に委託するものとみられるが、正式契約は今後時機をみて締結する。設計業務は少なくとも2か年程度かかるため、大規模改修は令和6年度以降になりそうだ。
そのほか、石谷家住宅の屋根瓦約1万5千枚は石州の黒瓦が使われており、特注で製作を依頼することになる。黒瓦の製造は途絶えているが、古文書などが存在していることから精密に再現できるという。
国重要文化財である石谷家のおおむね100年に一度の大規模改修ということもあり、文化庁や県文化財課、智頭町教育課、石谷家財団などの協議も今後本格的に始まるもよう。
なお、数年前に議会筋に訊ねたところ「少なくとも3億円前後はかかるのではないか」と聞いたが、耐震改修などの大規模改修や特注の屋根瓦の費用などを考慮すると3億以上必要かもしれない。
また改修工事中も一般公開し、作業工程などをすべて記録する。