
(写真は意見交換会のもよう)
令和8年7月2日、八頭県土整備事務所と鳥取県測量設計業協会東部支部による意見交換会が開催されたが、交換会の席上、最も注目を集めたのは、今年度(令和8年度)から新たに導入された「発注者支援業務」の試行内容だった。今後の展望や問題点など活発な議論が交わされているが、人手不足が慢性化する建設業界。今後はコンサルタントだけでなく、他業種にもアウトソーシングが拡大されるかもしれない。本誌はその内容に迫った。
令和8年度の試行内容と業務範囲
八頭県土整備事務所からは、今年度の発注者支援業務について「まずは数量計算と図面作成を基本として発注」している旨が説明された。
「我々としても初めての取り組みであり、業務の中で何ができて何ができないのか、今後どれくらいのことができるのかを、今年度の業務状況を見ながら考えていきたい」
また、適用されている歩掛りについては、現段階では「試行的・手探りな歩掛」であるとし、これが実際の業務実態に即しているかどうかも含め検証していく方針が示された。
積算業務への拡大を巡る議論
意見交換では、協会側から「将来的には積算業務まで一連のプロセスとして委託されるのか」という点に質問が集中した。
東部支部側からは、鳥取県内の他地域の事例(鳥取県土整備事務所など)を引き合いに出し、他地域では県独自の積算システム(エスティマなど)を購入・リースし、実際の工事金額の算出や、赤本(積算根拠資料)からの積み上げ、鉄筋量の算出といった、最も手間のかかる資料作成まで民間委託する試行が始まっていることが指摘された。
さらに、協会側からは以下の懸念や要望が上がった。
①図面や数量の切り出しに留まる場合=業務の中途半端な段階での引き渡しとなり、その後の積み上げや根拠資料作成を行う発注者側の負担が軽減されず、業務委託の本来の意義が薄れる。
②最終的な積算まで委託する場合=非常に高い効果が見込める反面、多額の委託費(数千万円規模)が発生する可能性があり、それが設計・測量などの一般業務の予算を圧迫しないかという懸念。
③また守秘義務の徹底や、持ち帰り業務とするか、あるいはかつての「監督補助業務」のように庁舎内へ常駐させるスタイルにするかなど、法的な課題(派遣法との兼ね合いなど)を含めた体制づくりの難しさ。
~これら実務上の問題点が指摘された。
事務所側の回答と今後の展望
八頭県土整備事務所側は、現時点ではあくまで「数量・図面の作成まで」を想定しており「最終的な積算業務まで一気通貫で委託する具体的な計画は未定」とした。
今後の展開については、鳥取県土整備事務所の試行結果や、積算システムの導入・リースに係るコスト、先般ウェブで開催された説明会での方針を踏まえ、本庁から改めて本格的な方針が示される見通しと述べた。
まずは今年度、八頭管内における発注者支援業務の効果と、算出された数量の精度がどれほど工事実態~例えば5,000万円前後の工事における乖離など~に即しているかを慎重に見極めていく構えだ。
双方とも、発注者支援業務が職員の負担軽減と業務の効率化を推進する有効な手段であるという認識では一致しており、協会側は「両者がウィンウィンの良い方向へ進むよう、技術委員会等を通じて試行的なプロセスを体験しながら協力していきたい」と締めくくった。