【陳情の概要】
鳥取市の市民団体「学校教育の中立性と透明性を守る鳥取県民の会」より、公立中学校での平和教育のあり方や、修学旅行などの安全管理の徹底を求める陳情が提出された 。陳情書は鳥取市議会文教経済委員会に送付された。
今回の件は、教育の「政治的中立性」という極めて慎重な舵取りが求められるテーマと、大切な子どもを預かる「安全管理」という、保護者にとっても学校現場にとっても非常に重要な2つの視点が盛り込まれていることから、陳情書を掲載することにした。
本誌注:本誌とは全く関係の無い話ですが、事件発生以来、その動向を注視していましたので、 今回は掲載することとしました。
陳情の背景
政治的中立性への懸念
教育基本法第14条では学校の政治的活動が禁じられています。辺野古移設反対運動に関与・寄付を呼びかける教職員団体の存在を背景に、特定の政治的立場に偏った「偏向教育」が行われないよう、中立な指導を求めています 。
痛ましい船舶転覆事故
令和8年3月に沖縄県で修学旅行中の高校生らが乗った船舶が転覆し、生徒と船長が死亡する事故が発生しました。これを受け、文部科学省の安全確保通知や他自治体での調査を踏まえ、学校側の安全管理と保護者への説明責任の強化を訴えています。
【主な陳情項目】
1. 政治的中立性に関する基本方針の確認
教師の指導内容、使用する教材、招へいする外部講師や市民団体などが、特定の政党や政治運動に偏らないよう確認すること 。生徒が多様な情報を基に、多面的・多角的に判断できる教育方針を徹底すること 。
2. 安全管理の徹底と保護者への説明責任
修学旅行や校外学習の目的、訪問先、移動手段、安全管理体制などについて、事前に保護者へ十分な説明を行うこと 。文部科学省の通知に基づき、危険性の事前把握や事業者の安全確認を徹底すること 。
3. 過去3年間の記録確認
過去3年間の修学旅行や平和学習の計画書・報告書などを確認すること 。そのうえで、特定の政治的主張に沿った活動現場への訪問や、政治的中立性・安全管理面で懸念のある教育活動がなかったかを検証すること 。
4. 懸念事例の実態把握と改善
上記(3)の確認において懸念や疑いがある事例が見つかった場合は、学校や関係者への聞き取り調査を行い、実態を把握すること 。その結果を今後の指導や改善に生かすこと 。
【陳情全文】
【陳情理由】
中学生は、社会の仕組みや歴史、政治、国際関係について本格的に学び始める時期であり、将来の主権者として社会の課題を主体的に考え判断する力を育むことが求められます。
中学校における平和教育及び修学旅行・校外学習は、その重要な役割を果たしています。平和教育の学習内容が特定の見解に偏った場合、生徒の歴史認識や社会認識に影響を与えるおそれがあります。
いわゆる「偏向教育」との疑念を招くことのないよう、特に平和教育においては結論ありきの指導を避け、事実を基にした政治的中立性と、生徒が発達段階に応じて多面的・多角的に考え、主体的に判断できる学びを確保することが重要です。
教育基本法第14条は、政治的教養を尊重する一方で、学校が特定の政党を支持し、又は反対するための政治教育その他政治的活動を行うことを禁じています。
本陳情を通し、中学校における平和教育の政治的中立性や修学旅行・校外学習の安全管理について点検を求める背景には、令和8年3月16日、沖縄県名護市辺野古沖において、修学旅行中の高校生らが乗船した船舶が転覆し、生徒1名と船長1名が死亡し、14名が負傷した痛ましい事故があります。
亡くなられた武石知華さんの御遺族は、事故当日の経過について、インターネット上で公表されています。保護者にとつて、修学旅行や校外学習は、学校を信頼して大切な子供を預ける教育活動であり、その信頼に応えるためにも、十分な安全確認と説明責任が求められます。
さらに御遺族は、沖縄や辺野古は、平和、戦争、命、歴史、基地、国防、日米関係などを考えることができる場所である一方、偏った情報を一方的に与えるのであれば、それは平和教育とはいえない趣旨の思いも綴られています。
これは、生徒が多様な情報に触れ、多面的に考える教育であってほしいという保護者の願いと受け止めるべきです。
文部科学省は、令和8年4月7日付で「学校における校外活動の安全確保の徹底等について(通知)」を発出し、校外活動の安全性や実施内容の確認、児童生徒・保護者への十分な説明、学校主体の安全確保、船舶利用時の許認可事業者の選定等を求めています。
また、大阪府教育庁は、同事故を受け、過去3年間の国内修学旅行・宿泊研修について、安全性、実施内容、事故で船舶を運航していた市民団体との関わり、教育活動における中立性等の調査を実施しました。
なお、辺野古移設反対を呼びかける「辺野古基金」の賛同団体として、日本教職員組合をはじめ、名称上確認できる教職員組合系団体が、各都道府県あわせて300団体以上確認できます。
自治体内でも教職員系団体、及び中学校・高校の教員本人が、辺野古移設反対活動への「寄付」を呼び掛けている実態はないのでしょうか。また、こうした反対活動を支援する教員が、教室内や校外学習において、生徒たちの「平和学習」を指導している可能性はないのでしょうか。
教壇に立つ教職員や教育現場に関係する団体が、特定の政治的運動に賛同している事実は、平和学習や校外学習における政治的中立性への配慮を、改めて確認する必要性を示すものです。
以上、貴自治体において、公立中学校における平和教育及び修学旅行・校外学習の政治的中立性、適正性、安全性を確保するため、下記のとおり陳情いたします。
【陳情項目】
1 公立中学校における平和教育の政治的中立性に関する基本方針を確認すること。
教育基本法第14条の趣旨に沿い、教師の指導内容、使用教材、外部講師・語り部・市民団体等の招へい又は関与が、特定の政党。政治団体・政治運動の立場に偏ることのないよう確認すること。
また、生徒が発達段階に応じて、事実を基に諸資料や多様な情報を活用しながら、多面的・多角的に考え、主体的かつ公正に判断できる平和教育となるよう、教育委員会としての方針及び学校への指導上の留意事項を改めて確認すること。
2 保護者への説明責任と修学旅行・校外学習の安全管理を徹底すること。
修学旅行・校外学習の目的、訪問先、活動内容、移動手段、外部関係者の関与、安全管理体制について、保護者に事前に十分説明すること。あわせて、文部科学省通知の趣旨を踏まえ、行程及び活動内容に応じた危険性の事前把握、事業者の安全管理体制の確認、緊急時対応及び引率体制の徹底を図ること。
3 過去の修学旅行・平和学習等の記録を確認すること。教育委員会又は学校に保存されている過去3年間の計画書、実施要項、実施報告等を確認すること。そのうえで、修学旅行・校外学習及び校内の平和学習について、特定の政治的主張に沿った活動現場への訪間、関連団体等の関与など、保護者の視点から見て、政治的中立性又は安全管理上の懸念が残る教育活動がなかったかを確認すること。
4 3に基づき懸念が残る事例については、必要な実態把握を行うこと。 3により、該当又はその疑いのある事例が確認された場合は、学校及び関係者への聞き取りを行い活動内容、生徒に対する特定の政治的活動への参加・賛同の働きかけの有無、安全管理、保護者への説明、政治的中立性への配慮について実態を把握すること。その結果を、今後の指導及び改善に生かすこと。