鳥取県埋蔵文化財センターは、令和3年度に鳥取市青谷町の古代山陰道発掘調査と、鹿野町の古城調査にレーザー地形測量を計画している。また県土整備部が所有するボーリングコアを解析し、古代山陰道をはじめ弥生時代の青谷平野を復元する。
全体事業費は804万3千円(昨年度は311万5千円)。
【背景】
青谷上寺地遺跡など県内の遺構や遺跡は、歴史上・学術上の価値が高く、調査が技術的に高度なもの等について、重要遺跡等として積極的に発掘調査を含む調査研究を行うもの。貴重な財産を保護しつつ、地域振興や観光振興を図っていくのが目的。
弥生時代を代表する青谷上寺地遺跡や妻木晩田遺跡以外の古墳、古代、中世の遺跡についても、これまでの調査経緯や新たな知見を踏まえ、今後も発掘調査を行う。
【主な事業】
①鳥取平野の前方後円について、現地踏査と古墳出土の土器等を資料調査する。4万6千円。
②古代山陰道(青谷)
・令和2年度に作成する東側丘陵部の発掘調査概報をベースに、レーザー地形測量でつづら折れ部の微地形を補正し、発掘調査報告書を作成する。
・令和1・2年度に行った現地踏査の結果に基づき、西側丘陵部のうち東側と東側丘陵のうち東側傾斜部の発掘調査を「因幡国古代山陰道発掘調査委員会」の指導を受けながら行い、その成果を現地説明会やフォーラムで情報発信する。
・県土整備部等が所有するボーリングコアを分析し、古代山陰道が機能していた当時の青谷平野の古環境を復元する。
以上378万6千円。
③中世城館(鹿野)
・令和2年度に作成する狗戸那城(鳥取市鹿野町)の発掘調査概報を基に、レーザー地形測量で立体地図を作成し発掘調査報告書を作成する。
・令和2年度に行った現地踏査の結果に基づき、狗戸那城山麓にある居館候補地等と大谷城(倉吉市)の発掘調査を研究者の指導を受けながら行い、その成果を現地説明会やフォーラムで情報発信する(注:同センターの坂本嘉和研究員が2月に開催されたフォーラムで発掘調査の成果等について報告)。
・八頭郡・岩美郡に多い室町幕府奉公衆の山城などの現地踏査を行う(注:昨年度も実施済み。。
以上404万6千円。

【補足・そのほか取組状況】
青谷上寺地遺跡の国県史跡指定の拡大、調査研究を通して遺跡の露出度の拡大、地域の史跡・遺跡の活用気運の向上を図るもので、鳥取西道路建設時の発掘調査により本高14号墳の築造時期が山陰地方最古という可能性が認識され、その重要度から現状保存することとし、平成29・30年度、本高14号墳近辺の鳥取平野西部から南部エリアの古墳の墳形を確認するための測量を県史編纂室と共同で実施している。
令和元年度から2年度に鳥取市青谷町内で実施した古代山陰道の発掘調査で、全国初となる「つづら折れ」を確認した。また青谷平野(青谷上寺地遺跡・青谷横木遺跡)から東側丘陵部に続く古代山陰道のルートが確定され、発掘調査成果を公開する現地説明会や古代山陰道ウォークインベントに県内外から多くの参加者が集まった。いわゆる「古代マニア」の関心度は非常に高い。
さらに、令和元年度から2年度に群雄が割拠した16世紀後半の西因幡・東伯者エリアで中世城館の踏査と発掘調査を実施し、一時期鹿野城に替わって機能したと考えられる旧気高郡エリアで遺構の残りが非常によい「狗戸那(くしな)城」を確認、その他、織田氏(秀吉軍)の天下統一の動向に関わる重要な西因幡、東伯郡の関連城郭の踏査を実施し、詳細縄張図を作成した。狗戸那城の発掘調査では主郭部分で県内初となる大型礎石建物(主殿)跡を確認しており、このように重要な発見が続き専門家を含む多くの方からの関心も高く、今後の調査研究に対する期待度は高い。
注:これまで、県教育委員会に所属してい埋蔵文化財センターも地域づくり推進部(とっとり弥生の王国)に移管され、地域づくりや観光振興を前提とした調査・研究が進められるようになった。今後は古代山陰道をベースにした散策道整備などが期待され、青谷上寺地遺跡の利活用などに大きく影響するものとみられる。