鳥取市生涯学習・スポーツ課は、鳥取市気高町運動場=気高町八幡=の一部が個人所有であることに気づかず占有していたことについて、このほど所有者と和解に向けた準備を始めた。
来月(7月)に簡易裁判所へ和解の申立てを行う予定で、和解が成立するのは10月頃の見込み。その後、所有権移転登記と解決金の支払いを行う。
今回は「時効取得」という難しい問題があり、他人ごとではないと考えられるので参考として掲載した。
【経過】
平成30年11月、土地所有者から「気高町運動場内に個人が相続した土地3500㎡があるのだが、相続時に税務署から相続税を請求された」と相談があった。その後、所有者はやむを得ず相続税を納めたが、鳥取市に対し土地の購入を求めた。鳥取市は、合併以前から運動場として使用していた施設であるため、時効取得の手続きを行う等の対応を所有者と協議したが、相続税の支払い等を行い実損が生じていることから、相続税と相続後の土地の使用料相当額を支払うことを決めた。
これにより、土地の時効取得に応じる主旨の合意を得たことから、簡易裁判所を通じ和解が決まった。
【和解の内容】
(1)相手方は、鳥取市に対し、本件土地が鳥取市の所有に属することを確認する。
(2)鳥取市は、相手方に対し、解決金の支払義務があることを認める。
(3)相手方は、鳥取市に対し、本件土地について、平成16年11月1日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をする。ただし、登記手続に要する費用は鳥取市が負担する。
(4)相手方は、本件土地に設定されている抵当権等の担保権その他一切の負担を消除する。
(5)鳥取市は、相手方に対し、前号に規定する抵当権等の担保権その他一切の負担の消除がなされたことを確認しだい、相手方の請求をもって速やかに本件解決金を支払う。
(6)相手方と鳥取市は、相手方と鳥取市との間には、本件に関し、本和解条項に定めるほか何らの債権債務がないことを相互に確認する。
(7)和解費用は各自の負担とする。
【必要な予算等】
解決金は、相続税相当額260万円と相続後の土地使用料250万円程度とみられる。
(本誌注)
「相続ナビ」によると、時効取得とは、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を一定期間占有した場合、土地や建物などを時効で取得できる制度のこと。今回は鳥取市が合併後、他人の土地と知らずに占有していたことになります。
他人の土地や建物に勝手に居座っていたにもかかわらず、それを自分のものとして主張できるというなかなかヘビーな制度です。もし長年放置していた土地や建物でも、相続の段階で他人が居座っていることに気づき、相続人にその財産を渡せないとなれば、相続トラブルの元になります。
この時、弁護士などに相談して取得時効の要件を確認した上で、居座っている人に土地や建物の明渡しを求め、それに応じない場合は、弁護士に代理交渉を依頼することになるでしょう。参考までに。
なお、市町村合併後、似たような事例をいくつか聞いたことがあり、たとえば「個人所有地に配水管が埋まっていた」といった不適切な事案もあった。決して他人事ではないので、心当たりのある方はぜひ調査を。