県生活環境部水環境保全課は、鳥取県中部地区(1市4町)における汚水処理施設の広域化について、令和8年6月25日の福祉生活病院常任委員会で最新の検討状況と今後の方針をあきらかにした。
これまで「全体統合」「エリア内3分割」「エリア内2分割」の3つの案で検討が進められてきたが、各市町の意向を踏まえ、今後は「エリア内3分割」を基本に検討を継続していく方針を示した 。
1. 全体統合案に対する各自治体の回答
当初検討されていた「全体統合案(流域下水道事業への集約)」に対して、倉吉市がとりまとめた各首長の見解や市町の回答を以下に示した。
財政面や実現可能性、住民への説明責任などの観点から慎重な意見が相次ぎ、一律の全体統合は困難という評価に至った。
〇倉吉市=施設整備が大規模になり処理施設が1箇所に集約されるため、予算規模やリスク管理の観点から実現可能性に疑問が残り、判断できない。
〇三朝町=町の経済的メリットが少ない全体統合を流域下水道事業で行うことに賛成することは困難。また、湯梨浜町の同意が得られるかも懸念。
〇湯梨浜町=具体的な枠組みが決まらない段階での基本合意は、地元住民や議会の理解が得られない。また、令和3年7月豪雨レベルの災害に対応可能か不明。
〇琴浦町=全体統合を流域下水道事業として行う場合のみ同意する。
〇北栄町=全体統合を流域下水道事業として行う場合のみ同意する。
2. 今後の対応方針(エリア内3分割案の概要)
各市町の意見を踏まえ、より現実的な案として「エリア内3分割」を基本に、エリアごとの関係市町で具体的な協議・検討を進めていく。
① 県天神川流域エリア
検討主体: 県、倉吉市、三朝町、湯梨浜町、北栄町、中部広域連合
内容=湯梨浜町の「泊浄化センター」および1市2町の農業集落排水施設(農集)12施設を、天神川流域下水道(天神)に統合するかを検討する。令和8年度検討着手。
② 北栄町大栄・北条エリア
検討主体: 倉吉市、北栄町
内容=倉吉市の「尾原」および「津原」の農集2施設を北栄町の「大栄浄化センター」に統合するか検討する。令和8年度検討着手。
※なお、「大栄浄化センター」と「北条下水道管理センター」の統合も検討されたが、経済的メリットはないとの結果が出た。ただし、必要に応じて検討は継続する。
③ 琴浦町東伯エリア(統合方針決定済み)
内容=農業集落排水7施設を「東伯浄化センター」に統合。
今後のスケジュールだが、令和7年度に事業着手しており、令和11年度末に統合完了予定。

3. ケース別の費用削減効果(再算定結果)
統廃合に伴う初期投資(管渠整備等)が大きいため、令和9年度から令和100年度までの超長期(総額)での費用削減効果を試算した。現時点での「既存のまま(統廃合なし)を0」とした場合の試算(単位:百万円)は以下の通り。削減効果は約120億円と算定した。

【財政面でのポイント】
今後の基本案となる「エリア内3分割」における総削減効果額は約119億円と試算された。北栄町は単体でマイナス(-7億4400万円)の試算となっているが、全体最適と各地域の現実的な運用を見据え、この3分割案をベースに今後さらに詳細な協議を進めていく。