
建設技術研究所と鳥取県河川課は、既存の監視カメラや水位計などのデータをAI(人工知能)に学習させることで、堤防決壊などの被害状況を迅速に把握するシステムを開発しているが、おおむね実用化にめどが立ったことから、9日に中間報告会を開催した。
同研究所では「来年秋ごろまでにさらにデータを集積し、より高精度なシステムを完成させたい」と話している。全国初の技術が鳥取県から始まる。
それによると、同システムは今年(令和2年)3月に立ち上げたもので、全国の自治体にシステムの試験運用を依頼したところ、鳥取県河川課が運用に前向きな姿勢を示したという。対象となったのは北条放水路と由良川本川で、①放水路河口部、②同分水堰、③上流域(米里地区)の3流域。鳥取県のウェブサイトで確認できる既設の監視カメラや雨量計、水位計のデータを統合・解析した。

(北条放水路の現況を説明する池田河川課長)
その結果、上流域の米里地区の越水検知、放水路河口部の砂州の変化の検知、分水堰の水位予測と堰を倒伏するタイミングの予測など、AIを使うことで3時間先の水位を予測し、堰の操作や避難誘導、また復旧作業時の安全確保に役立つことを実証した。
報告会では、同研究所の上山晃東京本社情報部部長が「今後は、夜間カメラ映像内の水面や砂の移動をはじめ、堰の操作タイミングなど検知・予測精度を向上させたい」と説明し「来年(令和3年)にはより実践的なシステムを構築したい」と話した。

(上山晃情報部部長(左)と近藤仁鳥取事務所長(右))
また平井知事は「AI予測により河川状況を安全に把握でき、リスク低減に役立つ。最近は特に集中豪雨が多発しており、内水対策に苦慮しているが、このシステムは応用範囲が広い。実用化に期待しています」と話した。なお、河川課によると「システムの精度が実用レベルに近づいている。将来的には県内の各出先事務所に導入する考えがある」とした。

(実験フィールドとなった北条川放水路)
(西村達也専務執行役員あいさつなど中間報告会映像。氏は三朝町出身)