〜学校施設や道路橋梁、上下水道の更新・維持管理に国の財政支援を強く要請〜
鳥取市は8月4日、令和9年度に向けた国および鳥取県に対する重点提案・要望事項をまとめ、平井伸治鳥取県知事に要望書を提出した。激甚化・頻発化する自然災害への対応や、高度経済成長期以降に整備された公共施設・社会インフラの急速な老朽化に対し、自治体独自の財政力では対応が限界に達しているとして、国や県の手厚い財政支援と制度見直しを強く求めている。
鳥取市が掲げた重点要望は、物価高騰対策や地方創生、都市基盤整備など多岐にわたるが、中でも「公共施設・インフラの老朽化対策・防災対策の推進」が最重要課題の一つとして位置付けられている。
【学校施設の長寿命化と避難所機能の強化】
市内の学校施設の多くは昭和50年代の児童・生徒数急増期に集中して整備されており、校舎等の長寿命化改修や老朽化対策が限界を迎えている。また、猛暑対策としての小・中学校への空調設備整備やトイレ洋式化は、児童生徒の教育環境向上のみならず、災害発生時の避難所としての機能確保の観点からも一刻を争う課題となっている。
近年の災害長期化を踏まえ、市は避難生活の安全・安心を確保するため、体育館の空調設備(断熱・遮熱対策を含む)整備の推進を新規課題に掲げた。要望では「学校施設環境改善交付金」の必要額確保と補助単価の引き上げに加え、学校プールや防球ネット、遊具等の補助要件緩和を要請。 さらに指定緊急避難場所となる体育館空調の補助対象化や、事業費増大に伴う自治体の「継ぎ足し単独事業」に対する緊急防災・減災事業債の適用など、地方負担を大幅に軽減する措置を講じるよう求めた。
【膨らむ橋梁修繕費、道路メンテナンスの補助率引き上げを】
道路インフラの維持管理も深刻な局面を迎えている。市が実施している三巡目の橋梁点検では、早期に措置を講ずべき状態である「健全性III」と判定された橋梁の割合が全国平均を上回っており、今後の修繕費用は膨大な金額にのぼる見込みだ。
市は長寿命化計画に基づく必要な予算を確保するため、「道路メンテナンス事業補助制度」の予算枠確保に加え、補助率の引き上げ(現行の55%から3分の2へ)や交付税措置100%の実施など財政措置の充実を強く申し出た。
一律の引き上げが困難な場合でも、健全性III判定の橋梁修繕や、将来の維持費軽減につながる橋梁廃止・撤去にかかる補助率引き上げをピンポイントで実施するよう訴えている。
【水道管の破裂・漏水防止と下水道の事前防災】
近年全国的に頻発する水道管の漏水・破損事故を受け、市は水道基盤の強化を重点項目に指定した。特に管路の中で老朽化が著しい「鋳鉄管」は、現有のすべてが法定耐用年数を経過しており、更新が最優先課題となっている。市は、漏水リスクが高い管路については口径の大きさや緊急輸送道路下などの埋設場所を問わず補助対象とすることや、「防災・安全交付金」における交付率の大幅な引き上げ(1/3・1/4から1/2へ)を申し出た。
また下水道事業についても、市民生活の衛生環境確保や浸水対策だけでなく、多発する災害への事前防災対策として、社会資本整備総合交付金や防災・安全交付金の中長期的な予算枠確保を国・県に強く求めている。
【その他の主要な重点・新規要望項目】
公共インフラ対策のほか、市は以下の項目も重点・新規要望として取りまとめた。
■新規要望
〇石油原料製品の安定供給(工業用部材・医療資材):中東情勢の緊迫化等に伴うナフサ等の入手困難や価格高騰に対し、インフラ工事の遅延や市民サービスの低下を防ぐため、流通目詰まりの解消と国の責任による財政措置を要求。
〇学校給食費の無償化:小学校給食費への国支援の充実(食材費高騰への対応)と、すべての自治体で完全無償化を実現するための財政措置、ならびに中学校給食費の早期無償化方針の提示を要請。
【重点・継続要望】
〇物価高騰対策・財政需要措置:人件費や資材費高騰を適切に反映した地方交付税額の増額や地方創生臨時交付金の追加配分。
〇自治体基幹システム標準化支援:ガバメントクラウド利用料や回線料などの負担増に対し、国の全額財政支援を要請。
〇都市基盤・高規格道路整備:山陰近畿自動車道(南北線)の事業化推進、志戸坂峠防災事業の早期整備、山陰新幹線の整備計画路線への格上げ推進。
これを受け、鳥取県は8月6日、国の関係省庁・部局に対し、これら要望項目の実現に向け精力的な要望活動を展開する。