県商工労働部は、令和8年6月定例会に一般会計補正予算案を上程した。補正額は7億9,373万9,000円となり、財源の多く(7億6,067万5,000円)は国庫支出金 。
今回の補正予算は、原油高・円安等に苦しむ県内中小企業を守る「経済変動対策」と、地域の産業活力や雇用を維持するための「人口減少対策特別プロジェクト」の2つを大きな柱として編成されている。
【予算の2大特長と主な事業】
1. 長引くコスト高・円安から企業を守る「経済変動対策」
中東情勢の影響等による原油・原材料価格の高騰や円安、電気代負担に直面する県内事業者の経営を迅速に支援する取り組み。
■(新)エネルギー・原材料価格高騰・円安対策特別金融支援事業(1,107万6,000円 ※後年度負担のための基金積立等を含めた課全体の補正額は5億9,212万3,000円)
資金繰りが悪化している中小企業を救済するため、県単独の「地域経済変動対策資金」の融資枠を90億円に拡大し、受付期間を3ヶ月延長(令和8年9月末まで)する。さらに、市町村と協調して最長3年間の実質無利子化を実施。後年度の利子補給等の負担に備え、5億8,104万7,000円を支援基金に積み増しする。
■(新)特別高圧電力料金高騰対策支援事業(1億円)
国の価格激変緩和対策の対象外となっている「特別高圧電力」を契約する中小事業者や、大型商業施設等のテナントを対象に、電力使用量に応じた補助金(7月・9月は1.8円/kWh、8月は2.3円/kWh)を支給し、エネルギーコストを軽減する。1事業者あたり上限1,000万円と設定。
2. 将来の投資と雇用を創出する「人口減少対策特別プロジェクト」
人口減少に歯止めをかけ、地域経済の基盤を強化するための先進的な投資や雇用支援を行う。
■(新)GXバイオクラスター形成事業(2,000万円)
国の「戦略産業クラスター計画」の採択を目指し、県西部地区に集積するバイオマス素材産業を基盤とした産学官連携組織「とっとりGXバイオプラットフォーム」を立ち上げる。次世代燃料や動物用医薬品などの新産業創出に向けた実証調査(FS調査)に着手する。
■(新)工業団地整備支援事業(500万円)
これまで手薄だった「整備に着手する前段階」の支援を強化 。市町村を対象に、適地選定調査や基本計画策定の経費(上限200万円、補助率1/2)を支援するほか、市町村職員向けの研修や専門家相談体制を新設し、企業誘致の基盤を創出する。
■(新)とっとり職種転換型トライアル雇用・研修一貫支援事業(2,400万円 ※別途債務負担行為1,500万円)
深刻な人手不足が続く介護、商品販売、建設・土木、自動車運転などのエッセンシャルワークへの職種転換(リスキリング)プログラムを開発。県内事業所での6ヶ月間のトライアル雇用と組み合わせ、働きながら正社員化を目指す仕組みを構築する。
■(新)非正規雇用労働者等が働きながら学びやすい職業訓練(4,655万2,000円)
有期雇用やパート、派遣労働者などの正社員化・キャリアアップを後押しするため、平日夜間や土日に受講できるe-ラーニング等を用いたオンライン職業訓練(介護・情報・医療の5コース、定員各15名程度)を民間機関に委託して実施する。
【まとめ】
今回の商工労働部の補正予算は、物価高や円安に対する「企業の資金繰り・コスト削減への緊急盾」を構えつつ、将来の鳥取県を支える「GX・バイオ産業の育成」「工業団地誘致」「非正規労働者のリスキリング」といった攻めの投資を同時に行う、メリハリのある予算編成となっている。