計画・構想

八頭町・若桜町 日本風景街道「新因幡ライン」景観計画策定~2区間を重点指定・観光資源整備も

投稿日:2021年07月02日 12:13 更新日:

 県生活環境部住まいまちづくり課は1日、八頭町・若桜町を対象とした日本風景街道「新因幡ライン」の景観形成行動計画を公表した。

 重点整備区間として国道29号八頭町西御門から若桜町浅井の区間及び四季折々の美しい渓谷景観が特徴の国道482号若桜町浅井から同町つく米までの2区間を指定し、道路周辺の景観整備だけでなく、若桜鉄道や若桜宿、道の駅はっとう、徳丸親水公園など観光資源を再整備する指針も示した。

日本風景街道「新因幡ライン」景観形成行動計画

【背景】
 福田県議をはじめ地元住民から提案・要望が寄せられたもので、日本風景街道「新因幡ライン」沿線の景観資源の保全・活用等に取り組んでいくため、令和2年に若桜町、八頭町と鳥取県で日本風景街道「新因幡ライン」景観形成行動計画を策定する大きな動きがあった。

【日本風景街道とは】
 日本風景街道「新因幡ライン」日本風景街道は、道路を活用した地域活動や観光振興を通じて地域の活性化を図る国土交通省の登録制度で、国道29号(兵庫県宍粟市(山崎IC)~鳥取市(鳥取城跡))をはじめ、国道482号(若桜町・八頭町内の区間)が「新因幡ライン」として、平成28年3月に県内3か所目となる風景街道に登録された。

【経緯】
 新因幡ライン沿線では、民間団体と行政機関が連携して美化活動やイベント開催など沿線の魅力向上、情報発信等に取り組んでいるが、景観形成、向上につながる取組が不足しており、景観上好ましくない屋外広告物等も多く存在している。
 そのため、令和2年8月から若桜町、八頭町らが連携して景観形成に向けた行動計画を策定し、国道29号と482号沿線の原風景を守る景観形成に取り組むことにした。

【行動計画概要】
(1)目的
 新因幡ラインと並走する若桜鉄道沿線に景観形成に向けた行動を計画として定め、若桜町、八頭町と県が連携して実行し、さらに民間の取組を誘導していくことを目的とする。

(2)内容
 新因幡ラインの景観特性を活かしさらに磨き上げていくために、これらの美しい景観資源への配慮が必要な要素を「①整理」し、次世代に残していくため「②保全」するとともに、風景を楽しむ場所・人が集う空間を整備することにより、新たな景観とにぎわいを「③創出」していく。これら3つの観点から行動計画を定め取り組んでいく。

「①整理」
~沿線の景観診断で抽出した景観への配慮が必要な要素(次の8項目)を整理する。

■公共広告物
 既存広告物の必要性を点検し不要なものは撤去。設置を継続するものは維持保全に関する計画を作成し、周囲の景観に調和したものとなるよう計画的に改修する。

■民間の広告物・建築物等
 公共広告物の取組を周知し、周囲の景観に調和したものとなるよう誘導する。特に他地域での取組例もあるコンビニ、金融機関等には、特段の配慮の協力を働きかける。

■道路附属物等
 新設・更新等の際に使用する色は、住民・団体等に「八頭ブラウン」という名称で親しまれているダークブラウンを基本とする。

■除草・植栽管理
 民間団体による沿線の緑化・美化活動を支援し推進していく。また、緑化・美化活動に取り組む新たな団体等の掘り起こしや沿線住民への啓発等を行う。

■バス待合所
 周辺の景観と調和した開放的で軽1央な印象を与えるものへの改修を検討する。

■電線・電柱
 道の駅等の人が集う場所の周辺区間については、電気通信事業者に無電柱化や鉄塔の移設等、景観への配慮を働きかけていく。

■柿畑の防風ネット
 周辺の景観に溶け込み柿畑の風景を阻害しない黒又はダークブラウンの防風ネットが使用されるよう誘導していく。

■遊休・荒廃農地等
 民間団体による景観作物(コスモス、ヒマワリ等)の栽培等を推進し、農村景観の維持・保全を図る。

「②保全」
~新因幡ラインを特徴づけている景観資源を保全・活用する(4項目)。

■若桜鉄道(若桜町若桜~八頭町郡家)
 列車や駅舎、登録有形文化財施設等の撮影スポットの整備、情報発信、滞留拠点化を利用者の視点で検討する。

■若桜宿(若桜町若桜)
 重要伝統的建造物群保存地区の住民啓発と情報発信を進め、修理・修景等を支援し、町並み保存とにぎわい創出を図る。また無電柱化を検討する。

■安井宿(八頭町安井宿)
 地元住民とのワークショップ等の啓発活動により価値を再発見し、宿場風情を残す現存建物の保存と地域ぐるみの取組を推進する。

■花御所柿の柿畑(八頭町大御門地区)
 柿畑の展望場所を検討する。柿農家参加のワークショップ等で柿畑が創り出す景観の素晴らしさを再認識し、景観と生産の両面の維持向上を図る方策を検討する。

「③創出」
~景観を楽しむ場所・人が集う空間(ビューポイント・滞留拠点)を整備する。

■道の駅若桜「桜ん坊」(若桜町若桜)
 若桜鉄道若桜駅前とのアクセスを改善し、周遊性創出による集客力の向上を図る。敷地内の屋外広告物について景観に配慮したデザインの改修等を検討する。

■氷ノ山自然ふれあいの里(若桜町つく米)
 グリーンシーズンのゲレンデ活用を検討し、年間を通して宿泊を伴う観光客が訪れるよう魅力づくりに取り組む。また棚田の景観を保全し観光振興に繋げる。

■道の駅はっとう(八頭町徳丸)
 道路に面した部分が、おもてなしの印象を与え前面の風景を楽しむことができる憩いの場所となるようベンチ設置等の整備を検討し、滞在時間の増加を図る。

■徳丸親水公園(八頭町徳丸)
 若桜鉄道の愛好家や地域住民等の意見も聞きながら、公園施設や河川内除草等のあり方について検討する。

(3)重点整備区間(景観形成に取り組むエリア)
 効果的に景観形成に取り組んでいくため、新因幡ライン沿線の中でも周辺に多くの景観資源等を有し、農山村や田園・柿畑等の風景が広がる国道29号八頭町西御門から若桜町浅井の区間及び四季折々の美しい渓谷景観が特徴の国道482号若桜町浅井から同町つく米までの2区間について、重点的に景観形成に取り組んでいく。

【参考・行動計画に関する専門家(アドバイザー)のコメント】
○一般社団法人まちの魅力づくり研究室理事堀繁氏(東京大学名誉教授、景観まちづくり専門)
~論理的に課題解決策の提案がなされており評価できる。滞留拠点等の整備については大まかな方針にとどめられており、今後、個々の施設ごとの具体的な計画、設計等が重要で、住民の意見、専門家の意見を聴き、丁寧な検討が必要だ。

○鳥取県屋外広告物審議会長 宮川淳子氏(デザイナー、色彩専門家)
~公共広告物等の統一的な基準を検討していく上では、色彩に関する勉強会を開催してはどうか。

【今後の主な取組】
(1)住民への周知
 八頭・若桜両町と鳥取県は、本行動計画により新因幡ライン沿線の景観形成に取り組んでいることを住民に周知し、民間広告物等の景観への配慮や景観形成のための民間活動について、理解・協力を求めていく。

(2)民間活動への支援制度の創設
 両町は、広告物の改修、ガードレールの塗装、柿畑の青色防風ネットの交換、遊休・荒廃農地等での景観作物の栽培などの住民・団体等の活動への支援制度の創設を検討する。なお、県は「広域景観形成支援事業」で支援する。

※広域景観形成支援事業とは、複数の市町村で策定する広域景観形成行動計画に基づく取組に対し補助金を交付する。負担割合は町事業に県1/2、町を介した間接補助事業に町1/4、県1/4(県予算額)340万円。

(3)公共広告物等の整理・改修
 若桜町・八頭町は公共広告物等の必要性を点検し、整理・改修等の年次計画を立て実行し、町が行う改修等を県が「広域景観形成支援事業」で支援する。

(4)景観資原の保全・活用、ビューポイント・滞留拠点の整備
 若桜町・八頭町は、本行動計画に掲げる整備等の方向性に沿って専門家や住民の意見を聴きながら具体策を検討する。

【参考・委員会メンバーなど】
 新因幡ライン景観形成行動計画策定委員会を組織し、令和2年9月から計6回委員会を開催した。

※新因幡ライン景観形成行動計画策定委員会
・若桜町(にぎわい創出課)
・八頭町(企画課地方創生室、産業観光課商工観光室、建設課)
・鳥取県
(生活環境部住まいまちづくり課(事務局))
(地域振興部東部地域振興事務所東部振興課)
(八頭県土整備事務所建設総務課計画調査室、維持管理課)

※オブザーバー
・国土交通省鳥取河川国道事務所
・若桜鉄道株式会社総務部長 矢部雅彦
・R29活性化委員会代表 小山由香(株式会社遠藤農園代表取締役)

※アドバイザー
・一般社団法人まちの魅力づくり研究室理事 堀繁(東京大学名誉教授、景観まちづくり専門)
・鳥取県屋外広告物審議会会長 宮川淳子(デザイナー・色彩専門家)

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