県内の上下水道事業の広域化に向け準備が始まった。国の方針を受け県生活環境部水環境保全課を中心に県内市町村の水道・下水道関係者が検討会を開催し現状を確認。令和3年度(2021年度)にはパターン別の効果をシミュレーションし、令和4年度に広域化計画を策定する。千代川、天神川、日野川3流域で大規模な上下水道の合併が本格化する。
なお、シミュレーション業務を受託したのは、上水道がEY新日本有限責任監査法人、下水道は日水コン・トーマツ共同企業体がそれぞれ担当した。
(概要)
上下水道事業の広域化に向け、11月19日に東部、20日に中部・西部で検討会を開き、各市町村の上下水道担当課長らが参加した。
【上水道】
①基礎調査結果(現状分析)→水道経営に係る「健康診断」を行いカルテを示し、将来の在り方を考察した。
・人員=職員数は、4市で31名から111名、町村1名~5名程度で運営しているが、50歳以上が約30割を占める。今後、経験年数や町の実態を踏まえて再整理する。
・水道普及率は県平均98%(全国平均98.0%}で全国25位。
・上水道(12市町)のうち、7市町で施設利用率が55%未満と低いが、老朽化は進行している。また簡易水道(9市町)のうち4市町で施設利用率が低いが債務規模は大きい。
・上水道を運用する10市町の経常収支比率は100%超で、全体の収益で費用が賄えているが、簡易水道を運用する8市町の経常収支比率は100%未満で、全体の収益で費用を賄えていない。
②財政シミュレーションの条件(自然体将来推計)
今後の事業効果を図る基礎数値となるため、条件設定については、受託者であるコンサルタントから提案し市町の意向を踏まえて進める。市町の経営戦略等既存計画を可能な限り反映させ、未策定の場合は市町の基本的な考え方を聞取りして条件設定する。
③広域化・共同化パターンの検討
今後、施設の給水能力や給水に係る余力、標高等の地形を考慮して広域化の可能性があるものは、市町の意見を踏まえ施設統合等のパターンを検討する。また人口減少の大きな中山間地域の小規模な水道施設等の在り方や共同化等について検討する。
【下水道】
①基礎調査結果現状分析
・職員数は、4市で15名~147名(うち委託職員2~96名)、町村は1名~10名程度。
・平成30年(2018年)の生活排水処理人口普及率は県平均94.1%(全国平均91.4%)で全国12位。上位に位置するが、下水道の処理場37箇所、ポンプ場36箇所のうち、処理場10箇所、ポンプ場20箇所で25年以上が経過しており、更新時期が近付いている。
・同30年の県平均使用料単価184.1円/m3(国推奨単価150円/m3)だが、料金回収率は25.8%~70.3%と料金で費用が賄えていない。また全市町村の経常収支比率は100%未満で、全体の収益で費用が賄えていない。(H30実績:26.2~80.1%)
②財政シミュレーションの条件(自然体の将来推計)
水道事業と同様に進める。
③広域化・共同化パターンの検討
・汚水処理各処理施設の処理能力と流入実績、余裕処理水量、施設稼働率、標高等を整理し、統合処理する設備能力の拡充等の必要性やコストを踏まえ検討する。
・汚泥処理汚泥処理施設の処理能力と処理実績、維持管理単価等を整理し、各圏域で一括焼却処理、し尿・浄化槽汚泥を公共下水道の管渠に接続する集約処理と、移動脱水車の導入範囲の拡大などについて具体的に検討する。
(今後の予定)
来年(令和3年)の1~3月に検討会を2回開催し、シミュレーション条件の調整、自然体将来推計と広域化パターン選定、広域化等を進めるうえでの課題等を整理。4月からパターン別の効果をシミュレーションし、令和4年度(2022年度)に広域化計画を策定する。千代川、天神川、日野川3流域で大規模な上下水道の合併が本格化する。