
山陰近畿自動車道(鳥取~覚寺間、通称・南北線)の令和9(2027)年度新規事業化に向け、早期整備の必要性を広く訴える「南北線シンポジウム ~未来を拓く地域の道~」が令和8年10月11日、鳥取市内で開催された。政財界のトップや地域振興を担う関係者が一堂に会し、防災や観光、物流面における基幹インフラとしての重要性を再確認するとともに、事業推進に向け強い結束を示した。
【政財界トップが結束訴え】
開会に際し、主催者を代表して鳥取商工会議所の平井耕司会頭が「高規格道路の整備は地域発展の生命線であり極めて重要な課題。南北線は地域活性化や災害時の強靭化に大きな役割を果たす」と強調した。

来賓挨拶では、平井伸治・鳥取県知事が「南北線が完成することで人と物の流れが大きく変わり、地域の可能性が広がる。国や市町村、地域の皆様と一丸となって早期事業化に全力で推進したい」と意気込みを語った。続いて登壇した石破茂・元内閣総理大臣は「高規格道路の整備は移動時間の短縮にとどまらず、医療、教育、観光、産業などあらゆる面で地域を支える重要インフラ。安全・安心な地域社会を築くためにも早期実現は不可欠」と述べ、国政の場からも強力にバックアップする姿勢を示した。
また、深澤義彦・鳥取市長は「持続的な発展と市民の安全安心を守るためになくてはならないプロジェクト。早期整備は喫緊の課題だ」と訴えた。
【観光・物流の未来拓く パネルディスカッションも】

続いて行われたパネルディスカッションでは、竹田佳宏鳥取河川国道事務所所長が南北線の経緯や概略を説明。鳥取大学工学部の福山敬教授がコーディネーターを務め、地元の観光や地域づくりに携わるパネリストらが登壇した。
討論では、移動時間の短縮が滞在時間の延長や地域での消費拡大につながる点や、鳥取港、鳥取砂丘コナン空港、鳥取砂丘などの主要拠点をつなぐネットワーク形成の重要性が語られた。特に「松葉ガニをはじめとする新鮮な水産物をより早く安定して届けることで、物流効率化だけでなくブランド力向上にもつながる」といった物流・観光双方への相乗効果に期待が集まった。
最後に「道路ができるだけでなく、それによって派生する新しい人の流れを地域の賑わいや経済効果につなげていくことが事業者の役割」と締めくくられ、参加者は南北線の早期着工と完成に向け、連携を深めていくことを誓い合った。
【パネリスト紹介】
■パネルディスカッション コーディネーター 福山 敬(ふくやま けい)氏
鳥取大学工学部教授(社会システム土木系学科)
経歴・学歴: 鳥取市出身。カナダ・ウォータールー大学大学院修了(Ph.D.)。東北大学准教授などを経て2007年より現職。
主な活動・研究: 研究テーマは「都市地域計画学」「社会システム工学」。鳥取県・鳥取市・新温泉町の都市計画審議会会長などを通じて山陰地方のまちづくりに携わる。地方都市における「高速道路の整備効果」や「空き店舗の発生要因」など地方都市活性化のための教育研究を行っており、2007年日本交通学会賞を受賞。
趣味: テニスや卓球のほか、まちにかけて気ままな散歩やポタリング(自転車)を楽しむ。
■パネリスト
〇山田 将司(やまだ まさし)氏(鳥取賀露港)賀露みなと観光協会 会長、有限会社山田屋 代表取締役社長
経歴=鳥取商業高校卒業後、進学。京都・木屋町「寿司割烹 蘭」にて浅岡照一氏に師事した後、家業の山田屋へ戻る。旅館・飲食店を経営する傍ら、全旅連青年部の役員として活動し、地域観光と旅館業界の発展に取り組んでいる。
〇柴田杉子(しばた すぎこ)氏(鳥取砂丘)鳥取大砂丘観光協会 会長、有限会社伊谷商店 取締役
経歴=鳥取市出身。東京で11年、雑誌編集者、映像制作、タレントマネージャー等を経て、起業準備のため2000年に帰郷。同年12月に実家と実家の運営する貸衣裳店が火災で全焼し、起業のための商品も全消失、以来家業を手伝うことを決意。その際仮店舗にと紹介された砂丘の家レイガーデンにてカフェ、貸会場、結婚式場として運営開始。「鳥取砂丘の中心で愛を叫ぶ」実行委員長を5年務め、2025年から鳥取大砂丘観光協会長に就任。
〇橋本芳昭(はしもと よしあき)氏(浦富海岸)鳥取県自然体験塾 シーカヤックガイド、合同会社iiDtech 代表社員
経歴=東京都あきる野市出身。大学卒業後、IT企業に勤務。2012年東日本大震災をきっかけに、家族4人で鳥取県に移住。岩美町でシーカヤックガイドをするかたわら、自宅でシステム開発に従事。
〇松浦聡子(まつうら さとこ)氏(吉岡温泉)吉岡温泉会館一ノ湯 顧問(旅館ゆなか~湯葉花~ 女将)、吉岡温泉町自治会 会長
経歴=鳥取市出身。大学時代は町並み建築を専攻。様々な職歴を経て、吉岡温泉会館館長として7年前に行き先を受け就任。就任二年目でコロナ禍となり、その間に「歴史的散策ロード」の整備、空き家対策として「デストピア吉岡フクジュエン」を開催し、町の活性化事業にも携わる。令和8年度より、旅館の事業継承と吉岡温泉町自治会長に就任し、吉岡温泉の将来へ向けての「まちなみ活性化事業」を実施中。