県農林水産部は、令和8年6月定例会、一般会計補正予算案を発表した。今回の補正予算は、一般会計で15億9,729万2,000円の増額となり、補正後の農林水産部予算総額は270億9,813万5,000円。
今回の補正予算は、主に「物価・エネルギー価格高騰への緊急対策」、「新規就農者の育成・定着」、そして近年の環境変化に応じた農地防災事業、「安全安心な地域づくり」に重点を置いている。
【予算の3大特長と主な事業】
1. 深刻な物価高騰から農林畜産業を守る「緊急救済」
エネルギー価格や生産資材の高騰に直面する事業者を迅速に支援する取り組みで、
■畜産経営緊急救済事業(3,093万円):輸入飼料や生産資材の価格高騰による酪農・養鶏・肉牛経営等の負担を軽減するため、国などの対策でも不足する経費の一部を緊密に支援します 。
■(新)肥育牛高騰緊急対策事業(800万円):和牛子牛価格の急騰等を受け、県内の肥育農家が優れた産肉能力を持つ肥育素牛(和牛子牛)を導入する際の費用を定額支援(3万5千円/頭)し、高品質な「鳥取和牛」の生産基盤を維持する。
■(新)土地改良区支援等事業(350万円):電力料高騰に対応するため、農業水利施設の省エネ化(消費電力10~20%削減等)やコスト削減に取り組む管理者を対象に、高騰分の一部を国庫や県単独予算で支援 。
2. 国の制度変更に合わせた「新規就農・担い手支援」の拡充
国の交付単価見直し等に伴い、新規就農者が安心して営農・研修に専念できる環境を整える。
■新規就農者総合支援事業等(計230万円):経営開始資金などの国事業の見直しに伴い、県独自の「就農応援交付金」や「アグリスタート研修交付金」の支給単価を月額10万円から11万円へ増額。さらに親元就農者が活用する際のリスク要件を緩和し、より使いやすい制度へと改善する。
3. 技術の活用による「地域防災・安全対策」の強化
気候変動や野生動物の行動変化に対応し、科学技術を用いた対策を推進。
■ツキノワグマ等総合対策推進事業(1,077万円):日常生活圏に近づくクマの行動特性を把握するため、DNA分析による個体識別やGPS首輪を用いた行動分析を実施 。さらに、AI搭載の自動判別センサーカメラや赤外線を探知できるサーマルスコープを導入し、出没時の監視体制と事故防止対策を大幅に強化する。
■農地防災事業(6億0057万円)
~農村地域の防災力向上のため、ため池や農業用河川工作物などの改修・防災減災対策を国事業の認証増に伴い増額し、計画的に推進する。
【まとめ】
今回の補正予算は、長引くコスト高騰から地域の食と一次産業を守る「守りの対策」を講じつつ、AIやGPSといった最先端技術による「安全な地域づくり」、次世代の農業を担う人への投資をきめ細かく実施する、実効性を重視した編成となっている。