令和8年7月28日に発生した令和8年熊本地震の影響が、県内の産業界にも及んでいることが、8月21日開かれた県議会農林水産商工常任委員会で明らかになった。半導体や自動車関連の生産拠点が集中する九州の取引先が被災し、県内企業からは部品調達や製品納入の遅れを懸念する声が相次いだ。一方、お盆明け以降は交通網の寸断解消や工場の再稼働が進み、混乱は徐々に落ち着きつつあるという。
発災直後は九州の取引先被災に懸念相次ぐ
県商工政策課などによると、発災直後は九州地方に集積する半導体・自動車関連の取引先や協力企業の被災、主要道路・鉄道網の寸断により、県内の関連企業から「納品や部品調達が遅れるのではないか」との不安の声が寄せられた。
電子デバイス製造分野では、熊本県山鹿市にある関連工場でドアの歪みや製造機械のわずかなずれが発生したものの、その後復旧。ただ製造部品のサプライヤーは九州地区に多く、被害状況や納品の可否について確認が続けられた。
自動車部品分野でも、納入先である自動車メーカーの一次下請けや完成車メーカー各社の工場が被災し操業を停止。8月以降の稼働状況が見通せない中、納入時期の先延ばしなどを懸念する声が上がった。
運輸業では熊本県の八代港が液状化被害を受けたほか、九州自動車道やJRの各所で寸断が発生。九州から関西方面への出荷が減る一方、代替ルートとして中国地方経由の貨物が増える可能性も指摘された。食品や水産物の分野でも、生産設備や物流網への影響を懸念する声が寄せられていた。
お盆明けから徐々に回復基調に
一方、資料が報告した8月時点の状況では、半導体・自動車産業を含め工場の再稼働や交通網の復旧が徐々に進んでいる。電子デバイス分野では集積回路(IC)の調達への影響が心配されていたが、現在はおおむね正常な稼働に戻った。運輸面でも東九州道などの代替経路の活用が進み、水産物の物流への影響も限定的で、輸送上の問題はほぼ解消したという。
県内で代替生産の動きも
九州に拠点を持つ企業の間では、県内での代替生産の動きも出ている。清涼飲料大手のサントリーは熊本工場の操業停止を受け、8月6日から自社の国内10工場と委託先で代替生産に切り替えた。ある食品製造業者は、熊本の協力工場が再開するまでの間、鳥取工場で9月ごろまで増産する予定という。コカ・コーラボトラーズジャパンは熊本工場(熊本市)の施設設備への影響が確認されたため操業を停止し、一時は代替生産を検討したが、8月5日に工場が再開したことを受け、代替生産は見送られた。
県、特別相談窓口や緊急融資枠を設置
県は7月29日、中小企業者からの取引先の仕入れ遅延や資金繰り悪化などの相談に応じるため、商工政策課内に特別相談窓口を開設した。さらに8月4日には、災害等緊急対策融資として「令和8年熊本地震対応枠」を発動。熊本地震により経営の安定に深刻な影響が生じている中小企業者などを対象に、融資限度額2億8千万円(被害を受けた設備に係る資金は融資期間15年以内)、融資利率年1.63%(変動金利)、融資枠5億円の支援策を、令和9年3月31日までの期間で実施する。
今後の対応、取引先廃業の余波にも注視
熊本県内では雇用や事業継続に関する相談が急増しているとの報道もあり、県は今後、取引先企業の廃業などの影響が県内企業にも波及する可能性があるとみて、引き続き調査を継続し、柔軟かつ機動的に対応していく方針だ。