鳥取県と島根県の両県にまたがり、山陰地域における物流・人流の要として重要な役割を担ってきた重要港湾・境港。その境港を管理する境港管理組合の先進的な取り組みがこのほど国から高く評価され、令和8年9月7日、鳥取県庁において「CNP認証(コンテナターミナル)」の認証書および「サーキュラーエコノミーポート」の選定証の交付式が執り行われた。

今回のダブル受賞は、境港が単なる物流拠点にとどまらず、地球環境に配慮した「脱炭素化(カーボンニュートラル)」と資源を有効活用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」を両立させる、次世代型の先進港湾へと大きく舵を切ったことを示す歴史的なマイルストーンとなる。
1. 境港国際コンテナターミナルにおける「CNP認証(レベル1)」の獲得と脱炭素への歩み
国土交通省が令和7年6月に運用を開始した「CNP認証(コンテナターミナル)」は、コンテナターミナルにおける脱炭素化の取り組みを客観的に評価し、港湾全体のブランド力向上や機運醸成を図るための制度である。境港国際コンテナターミナル(昭和南4号岸壁)は、令和8年8月25日付けで「レベル1」の認証を獲得した。
境港における主な脱炭素化の取り組みとしては、まず「境港港湾脱炭素化推進協議会」を通じた計画的な推進体制の構築が挙げられる。さらに、荷役機械の分野において、全2基のガントリークレーンに「インバータ制御方式」を採用し、電力消費の効率化とCO2排出量の削減に大きく貢献している。
ターミナル概要を見ると、水深-14m、岸壁延長280m、ヤード面積7.6haを誇り、ガントリークレーン2基、ストラドルキャリア1基、リーチスタッカー3基を備える。さらに、令和7年度からは新規耐震強化岸壁の築造および約3haのコンテナヤード拡張に着手しており、「災害に強いターミナル」としての強靭性を高めつつ、今後はヤード照明のLED化などを順次進め、さらなる脱炭素化(CNPの本格的な形成)を目指す方針だ。
2. 「サーキュラーエコノミーポート」選定がもたらす地域循環の優位性
一方、「サーキュラーエコノミーポート」の選定は、境港が長年にわたり培ってきたリサイクルポートとしての実績と、背後圏における強力な資源循環ネットワークの構築が高く評価された結果である。
境港は平成23年にリサイクルポートに指定されて以来、循環資源の取扱量を着実に伸ばしてきた。近年では年間15万トン前後で推移しており、指定当初の約2倍にまで規模を拡大している。また、令和4年頃からのバイオマス発電所の稼働や、令和8年6月末に完成した金属くず取り扱い企業の新工場稼働などにより、地域の資源循環機能は一段と強化されている。
今回の選定を受け、今後は以下のような発展的な取り組みが計画されている。
①海上輸送ネットワークの構築: 石狩湾新港の関係事業者や港湾管理者と共同で、金属くず等の国内複数港が連携した海上輸送ネットワークの形成に向けた協議を進める。
②多様な資源循環ネットワークの形成: 周辺地域に集積する多様な品目のリサイクル関連企業と連携し、地域ぐるみの静脈物流を活性化させる。
③再生可能エネルギーの活用: 境港周辺に立地・展開が進むバイオマス発電(発電能力58,110kW)や太陽光発電(発電能力18,529kW、敷地面積56,700㎡)などの再生可能エネルギーを組み合わせ、地域の循環型社会の形成とサーキュラーエコノミーの推進を図る。

3. 持続可能な港湾経営と地域経済への波及効果
今回交付されたCNP認証とサーキュラーエコノミーポート選定は、境港管理組合(管理者・鳥取県知事)が掲げる「環境配慮型港湾」への変革が、国基準の客観的指標によって正しく証明されたことを意味する。
国際定期コンテナ航路や韓国・中国との貿易、さらには内航フィーダー航路を抱える境港にとって、環境性能の高さや資源循環の円滑さは、国際競争力を維持・強化する上での強力な武器(ブランド力)となる。荷主企業や船社に対しても環境負荷の低いターミナルであることをアピールでき、持続可能なサプライチェーンの一翼を担うことが可能だ。
災害に強いインフラ整備(耐震強化岸壁やヤード拡張)と、脱炭素・循環経済というソフト・ハード両面の革新を同時に進める境港。今回のダブル受賞を契機に、山陰地域の経済活性化と地球環境保全の両立に向けたモデルケースとして、その存在感を一段と高めていくことが期待される。